不動産は必ずしも”資産”ではない

 不動産が値上がりを続けると考えられていた頃、企業にとって不動産は“資産”だった。そのため、自社ビルや自社工場だけでなく、保養所など直接事業には関係のない不動産まで購入した企業も少なくなかった。

「しかし、今後は上がる土地と上がらない土地とが明確に分かれることは周知の事実です。収益を生まない不動産があり、それに買い手がつくなら売ったほうがいいでしょう」(平川氏)

 “コストの塊”になっている不動産を売却することで、収益が各段に改善する可能性もある。なかには、「売却して利益を得ると税金がかかる」と二の足を踏む経営者もいるかもしれない。

「ですが、現在の法人税率は実効税率で30%程度ですから、7割は手元に残ります。その現金を次の事業に充てることで次の成長を促すことが重要なはずです」(平川氏)

 売上げを伸ばすには大きな苦労も伴うが、コストを削減することは比較的僅かな作業でもできる。

「事業の円滑な承継を望むなら、会社の収益を改善する意味でも、不要な不動産を整理してコストを削減することをまず第一位にすべきでしょう。それは、不動産を買った経営者自身の責任として行うべきことです」

 円滑な事業承継のためにも、不動産戦略を見直すことがますます重要になりそうだ。