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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

天津再考!
凋落の街から自信あふれる復活の都市へ

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第105回】 2012年5月24日
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 7年ぶりに天津を訪問してきた。中国の4つの直轄市の中の一つとして知られる天津に対して、これまで私はあまり関心を払っていなかった。私の偏見によるものではなく、天津の地盤沈下があまりにも深刻だったためだ。

 2009年に出版された拙著『「中国全省を読む」事典』(新潮文庫)の古いバージョンは、『中国全省を読む地図』だった。自分で言うのも何だが、中国各省・市・自治区の概要をコンパクトに、しかも幅広く紹介した同書は相当売れていた。

 それを執筆したときは、自分が比較的よく知っている地域から書いていき、最後に書いたのが天津市だった。3回書き出したが、天津の特徴を今ひとつつかんでいないと思って3回後回しにした。これ以上後回しにできない最後の最後になって、ようやく「甘栗」と「携帯電話」をキーワードに、なんとか天津の章をまとめた。

北京との合併説がでるほど
一時は凋落した天津

 天津といえば、北京、天津、上海(滬)を言い表す「京津滬(コ)」という熟語があるように、かつては上海に次ぐ中国2位の大都市で、産業、商業、海運、鉄道のどれを取っても、その存在は侮れなかった。しかし、この「京津滬」という熟語は、いまや死語に近いような存在である。その天津にとってかわったのが、今の広州だ。

 天津周辺を入れると、京津唐地区(北京、天津、唐山)と表現することも多い。改革・開放が始まった1980年代初期、広州のある珠江デルタの経済的実力は京津唐地域の足元にも及ばなかった。1990年には、両者は互角となり、それ以降は、天津の地位低下は目を覆いたくなるほど惨めなものだった。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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