「なぜ、あの人はすぐに正解を導けるのか?」「なぜ、あの人は失敗をしないのか?」「なぜ、あの人はやりたいことを実現しているのか?」――とびぬけて頭のいい人は、「迷いのない判断基準」と「瞬時に対応する問題解決能力」を持っています。その2つの能力を普通の人でも使えるスキルとしてまとめた、新刊MENSA、ISI、HELLIQに所属する天才のパターン思考 2時間で知能が高まる「思考の技術」から、天才の思考法を紹介していきます。

誰がやっても結果が同じことを
あえて自分がやる必要はない

「できること」にやりがいや喜びを見出す人は多いと思いますが、私は、すでにできること、誰がやっても同じ結果になるようなことには興味が持てません。

 むしろ、できることを繰り返すのは苦痛ですらあります。「どうせやるなら、自分にしかできないことをやりたい」という欲求を持って生きています。

 しかし、そうはいっても、仕事など多くのことは誰でもできるものです。自分がいなくなったとしても、ほかの誰かが代わりにやれば、仕事は回っていきます。そもそも、組織というものは誰がやっても一定の水準が保てるようになっているからです。

 とはいえ、そこに甘んじていると、人も組織も成長できません。AIの登場により、多くの人の職が奪われるとささやかれている昨今、できることだけをやっていたら本当にAIに取って代わられてしまうかもしれません。

 そう考えると、人がやっていないこと、自分にしかできないことをやることには大きな意義があると私は思います。

 日常業務でも、新しいやり方を取り入れたり、時間短縮を考えたりするなど、オリジナリティを出す方法は意外とあるものです。

挑戦が道をひらく

 もちろん、人がやっていないことに挑戦するのは楽なことではありません。

 しかし、私はその「挑戦」こそが勝負だと捉えています。挑戦する過程で、自分の能力に限界を感じることがあったとしたら、それを突破して、誰もやっていないことをやりたいと思っています。

 私がこのように思うようになったのは、これまで何度かお話ししてきた「ギフティッド」の概念と関係があります。

 ギフティッド・チルドレンと呼ばれる高い能力を持つ子どもたちの中には、その能力の活かし方がわからず、人から認めてもらえないことを悲観し道を誤るケースもあるそうです。

 私自身、自分がほかの人にはない能力を持っていると感じながらも、自分の存在意義がわからず苦しんだ経験がありました。それを乗り越えてから、かつての自分のような子どもたちの「道しるべ」になりたいと思うようになりました。それは、おそらく自分にしかできないことだからです。天才といわれるような人間の、一つの承認欲求なのかもしれません。

 誰もやっていないことをやることで、歴史に名を残したいという気持ちもありますが、それが第一の目的ではないのです。

 ただ名を残すだけでなく、後世につながるものを伝えたい。

 天才ソングライターであるThe Beatlesのポール・マッカートニーのように、国境や時代を超えた普遍的な存在になりたいけれど、そうはなれそうにない。しかし、自分がこの自分として存在していることは、単なる偶然にしてはできすぎている─―そう思いながら、自分にしかできない役割を模索しています。

まとめ

凡人→自分にできることがあると喜ぶ
天才→常にできないことを探している
メリット→潜在能力を最大限発揮できる