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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

事業の定義が陳腐化すると
どのようにマネジメントしても事業は左前になる

上田惇生
【第289回】 2012年5月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
1890円(税込)

 「これまで順調だった企業も、これからは何を行なうかが問題になる。順風満帆に見えた企業が、突然危機に直面し、低迷し、挫折する。アメリカだけではない。どの国でも耳にする。しかも、企業でない組織でも起こっている。むしろ、それらの組織のほうがむずかしい問題に直面している」(『チェンジ・リーダーの条件』)

 難攻不落に見えた組織が、これほどまでに危機に見舞われるようになったのは、マネジメントの方法が急に下手になったからではない。たいていは、適切にマネジメントを行なっている。単に、これまでの事業が時代遅れの間違ったものになったにすぎない。

 なぜか。ドラッカーは、事業の定義が陳腐化したのだという。事業の定義は三つの要素からなる。

 第一が事業環境の定義である。第二が使命とするものの定義である。第三が強みの定義である。

 これまで順調だったのは、これら三つの定義のそれぞれが、社会と経済の現実に適合し、かつ互いに適合し、社員をはじめ関係者全員に一つの定義として共有されていたからである。

 しかし、この世に永続するものはない。事業の定義も陳腐化する。したがって、いささかなりとも、事業に変調を来したならば、事業の環境、自らの使命とするもの、強みを現実に照らして点検しなければならない。

 加えてドラッカーは、激動に入った今日では、事業に変調を感じる前に、日常の作業として、二つの検査をしておけという。

 一つは、あらゆる製品、プロセス、チャネルについて、今それらのものを手にしていなかったとして、同じものを始めるかを定期的に点検していくことである。

 もう一つは、組織の外、特に顧客になっていておかしくないにもかかわらず顧客になっていない人たち、つまり、ドラッカーいうところのノンカスタマーの行動を定期的に点検していくことである。

 「あらゆる組織が、自らの事業について定義をもたなければならない。明快で一貫性があり、焦点の定まった定義が組織のよりどころとなる。これまで成功してきた世界的な大組織が不調に見舞われているのは、まさに彼らの事業の定義が有効でなくなったからである」(『チェンジ・リーダーの条件』)

週刊ダイヤモンド

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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