月次決算書は「翌月5日まで」がタイムリミット!

 月次決算書が出来上がるまでにどのくらい時間がかかるか。これは一般的には経理部門の能力と全社各部門の経理への協力度合いに正比例します。

 業種の差(見積り計算や在庫評価の有無)や規模(連結子会社・関連会社の数)にもよるので一概には言えませんが、月末締めの会社であれば翌月5営業日までに出来上がっていなければいけません。

 月次決算書は予算管理の土台ですから、実績が出来上がってから各部門別の予算と比較し、大きく差異の出た部署は内容の分析をしたうえですぐにでも手を打たなくてはならないので、早ければ早いほどよいのです。

 死に至るほどの病気なら、治療開始が遅れれば遅れるほど、手遅れになる可能性は高くなります。仮に業績が良かったとしても、早くそれが分かっていればもっと良かったかもしれない(たとえば欠品が生じていたなど)のに、手を打つのが遅れ機会損失となるケースもあります。

 しかし、迅速性を尊重するあまり、正確性を犠牲にしてはいけません。正確に月次決算することを考えつつ作成時間を減らしていくのは実は大変な作業です。

 それにしても、「翌月15日にできます」とか、「翌月20日過ぎにならないとできません」、あるいは「決算をすべて顧問税理士に任せているので、月次決算書は翌月末近くなってやっと顧問からもらえます」などという会社は、月次決算と予算管理の重要性をもう1度考え直してほしいと思います。

 ユニクロも今から20年以上前はそんな調子で、できるのが非常に遅かったです。やる気にさえなれば、どんな会社でも早くできるようになります。

月末締めなのになぜ3週間もズレ込むのか?

 それでは月末締めの月次決算が翌月5日までに締められずに、なぜそんなに遅くなってしまうのでしょうか。

 最初のうちは経理部門ばかりがやり玉にあがって、「経理部門の能力が低いから」とか「人数が少ないから」ということになりますが、遅くなる真の要因を突き止めていくと、まさにそれはさまざまで、次のように経理担当以外が主因の場合が多いのです。

a.営業担当の請求書作成作業が遅れ、月末締めの請求書が翌月5日過ぎの発送になってしまい、それから経理に当月の売上高の連絡がくる。
b.月末までに製品を客に出荷済み、あるいはサービス(修理や配線工事など)提供済みだが、契約金額が決まったのが翌月初めなので、請求書を出すのも遅れた。
c.仕入先からくる月末締めの請求書が、翌月1週間から10日過ぎにならないと到着しない。そこから納品書と突き合わせるので時間がかかる。
d.外注管理課のチェックを経て上がってくる外注先からの請求書が、いつも翌月8日を過ぎてしまう。
e.ちゃんと契約をする前に外注先に工事を発注し、月末までに完成していて売上は計上されているのに、外注費の金額が確定していない。
f.毎月末に在庫のチェックをして商品ごとに詳細に評価減しているが、その処理が終わるのが翌月10日を過ぎてしまう。
g.毎月のアルバイト給与計算と残業代の締めが遅れ、経理に連絡がくるのが翌月6日頃だ。