桜蔭・雙葉・豊島岡女子・渋谷幕張…。東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、保護者から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの学習メソッドが凝縮された最新刊『女の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の内容から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「女の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。

親の「与えすぎ」が子どもの「やりたい」という欲求を奪っていく

「お腹いっぱい」だと欲求は生まれない

 受験競争を勝ち抜くためには、「どうでもいい」という無気力は大敵です。また、子どもの頃から無気力では、大人になって社会に出ても、「とくにやりたいこともない」という非常につらい状況に置かれかねません。

 しかし、今の子どもたちはあまりにも忙しく、日々のスケジュールをこなすのに精いっぱい。「○○をやりたい」という自発的欲求を抱く余裕がありません。

 とくに、共働きの家庭では、そうでない家庭と比較して、どうしても親子が関わる時間が少なくなります。すると「かまってあげられない」という罪悪感が生まれるのか、子どもにお金をかけるようになります。結果として、「習い事もスポーツも塾も、もっともっとやりなさい」となり、子どもは疲れ切ってしまうのです。

 女の子でも文武両道が理想ですが、それは親が言って身につくものではありません。子どもが「勉強をしたいな。でも、運動もしたいな」と心から思えたときに可能になります。

 そして、この「○○したい」という欲求を育てるために、遊びはとても大事です。ところが、今の子どもたちは、遊んでいいと言われても「ママ、なにして遊べばいいの」と迷うのです。

 私はよく「お腹いっぱいにしないで」とお願いしているのですが、親が子どもにしっかり与えすぎてお腹がいっぱいになってしまえば、子どもは「○○が食べたい」と思わなくなります。自立心を育みたいなら、「与えすぎ」は禁物です。

 以前、オランダからきたサッカーの指導者が、驚いていました。

「日本の高校生は部活のサッカーの練習が休みになると、なぜ喜ぶのか」

 自分でサッカーを部活に選んだということは、好きだから。その好きなことを「できない」状況をなぜ喜ぶのか不思議でならないというわけです。

 実は今、日本でサッカーを習っている子どもは増えていますが、「サッカーが好き」という子どもは逆に減っています。ずっと習っているために、「やりたい」より「休みたい」が強くなっているのです。

 本当は、知らないことを学ぶ勉強も「やりたい」ことであるはずなのです。しかし、与えすぎれば子どもはうんざりしてしまいます。