金融庁の沸点が下がり続けていることに、生命保険業界としてどう向き合っていくのか金融庁の沸点が下がり続けていることに、生命保険業界としてどう向き合っていくのか Photo by Masaki Nakamura

外貨建てと節税保険という生命保険会社の食い扶持にメスを入れ始めた金融庁。昨年から続く規制強化に向けた取り組みの裏側で、庁内では生保への嫌悪感が否応なく高まっている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

 生命保険会社とその経営を監督する金融庁の攻防が年明け以降、本格化している。

 舞台となっているのは、一時払い(一括払い)の外貨建て貯蓄性保険と、中小企業経営者を主なターゲットにした「節税保険」の2つ。特に、外貨建て保険については主要な販路となっているメガバンクや地域銀行も巻き込んで、攻防が激しくなっているのだ。

 発端となったのは、2018年2月。生保役員との意見交換会で金融庁は、「投信と類似の貯蓄性保険商品は(中略)各種のリスクや費用を除いた後の実質的なリターンについて、投信と同じレベルの情報提供・説明が求められる」との見解を伝えている。

 低金利による運用難で、米ドルや豪ドルといった外貨建ての貯蓄性保険の販売に生保各社が傾注する中で、運用利回りや元本割れ、為替リスクなどの情報提供が、分かりやすく行われていないという実態が散見されたためだ。