最近、「サドンデス倒産が増えている」という声をよく聞く。

  「サドンデス倒産」とは、健全に業務を行なっていると見られる企業が、あたかも「突然死」のように、ある日突然破綻してしまうことだ。

 全く予想していなかった事態が降って湧いたように起きるため、当該企業の取り引き先や債権者は戸惑い、どうしてよいかわからない状態に陥る。突然の倒産で影響を受けるのは、経営者や取り引き先ばかりではない。従業員にとっても正に“寝耳に水”であり、新しい就職先を探さなければならない状況に追い込まれる。

 では、そもそも企業が破綻に追い込まれ、業務を行うことができなくなる状況とは、いったいどういうことなのだろうか。

 それは、企業が銀行から借りていたお金を返済できなくなったり、取引先に支払うべき仕入れ代金などを、約束通りの期日に支払うことができなくなり、「銀行や取り引き先などとの取り引きが全くできなくなってしまう状況」と考えるとわかり易い。

 企業は原材料を仕入れて、製品を作り、それを取り引き先に売る。その過程でお金が必要になると、銀行から借り入れをして業務を行なうわけだから、仕入れ先、取り引き先、銀行などが、その企業と取り引きを行なわなくなってしまうと、通常の業務を続けることができなくなる。

 他にも、作っている製品に大きな問題が出て、顧客からの信頼を失い、業務が続けられなくなるようなケースも考えられる。

 そうなれば、言うまでもなく「企業は儲からなくなって破綻する」との見方が一般的となる。

 ところが、なかにはたとえ儲かっていても資金繰りがつかなかったり、突然発覚した製品の欠陥などによって顧客からの信頼を失ってしまうようなケースもある。そうなると、「ある日目が覚めたら、有名な企業がなくなっていた」という事態も起こり得るわけだ。

 今後、“100年に一度の金融危機”の猛威がますます増せば、金融機関の体力低下などに伴って、「サドンデス倒産」が増加することが懸念される。それは、企業の社員や取り引き先に対しても、大きな悪影響を及ぼしかねない。相応の注意が必要だろう。