飲料業界5位に転落して苦戦が続く中、4月に社長に就任。競争が激化する厳しい環境下、挽回策はあるのか。

キリンビバレッジ社長 首藤由憲<br />業界5位転落は気にしない<br />強いブランド確立に全力投球Photo by Kazutoshi Sumitomo

──売上高が前年度比3%減となった2011年度から一転、今年度は9%増とかなり高い目標だ。

 今年度の出荷数量目標1.86億ケースは、ピーク直前の06年度に1度経験している。達成は十分可能と考えている。

 当社が最も強いブランド力を持つのは「午後の紅茶」だ。今年度は、こうした強いカテゴリーで、別のカテゴリーを攻める。

 例えば、10年に発売した「エスプレッソティー」は、缶紅茶ながらも缶コーヒー市場に食い込んだ。今年は同様に無糖紅茶飲料で緑茶市場を、炭酸飲料「泡」でアルコール市場を狙う。このように既存のカテゴリーを工夫し新しい飲み方を提案するほうが、消費者にも受け入れられやすいはずだ。

 かたや、好評で商品供給が追い付かない特定保健用食品「メッツコーラ」のように、誰も手を付けなかった潜在ニーズを掘り起こした成功例も出てきた。こうした成功体験を次につなげていきたい。

──緑茶飲料、缶コーヒーという飲料メーカーにとっては主力商品のシェアが落ちている。

 コーヒーは自動販売機の台数と売り上げが比例する。当社はそれにとらわれず、量販店市場でお客さまに味で選ばれる新たなコーヒーのカテゴリーをつくる。独自技術で豊かな味わいを実現したペットボトルコーヒー「ファイア neo」シリーズで昨年から実験しているが、成果が出るまでには時間がかかる。