【アトラス加賀】は“買い”?
価格・スペック・立地をプロが徹底調査!
駅近ではないが、建物の質を勘案すれば割安

2019年2月13日公開(2024年4月11日更新)
櫻井幸雄:住宅評論家

新築マンション「アトラス加賀」は東京都板橋区の注目物件だが、本当に買いなのか、価格・スペック・立地を徹底的に調査してみた。駅近でないことや、大型の商業施設が近くにないことは短所だろう。しかし、駅近ではない分、環境のよさを備えたマンションである。建物と住戸の質の高さを勘案すれば、6000万円台の3LDKは割安といえる。(住宅評論家・櫻井幸雄)※新築販売時の記事です。

アトラス加賀の建設地「加賀一丁目」は、大名屋敷跡の由緒ある場所

 「アトラス加賀」は、板橋区加賀一丁目に建設される大規模マンションである。建設地へは、都営三田線新板橋駅から徒歩9分、板橋区役所前駅から徒歩10分。他にJR埼京線板橋駅から徒歩14分、十条駅から徒歩15分でもある。

 駅から歩いて3分以内でも5分以内でもないため、駅近マンションを探している人は候補から外してしまうだろう。そして、「板橋区内」という立地条件も地味な印象を受ける。

 ところが、板橋区内において「加賀一丁目」の評価は高い。

 というのも、建設地一帯は江戸時代に加賀百万石として知られた大名・前田家の下屋敷があった場所であるから。大名屋敷跡地なのだ。

 大名屋敷跡地の多くは明治以降、国有地となり、国立大学キャンパス、各国大使館、公園などに活用されている。東大の本郷キャンパスは加賀藩の上屋敷跡地。日比谷公園は、萩藩毛利家や佐賀藩鍋島家など8つの大名上屋敷跡地だ。

 ところが、加賀藩下屋敷跡地は国有地となった後、民間に売却されて学校や企業の研究所となり、現在はマンションが建設されている。板橋区の加賀エリアは由緒ある土地であり、希少な性格を持った場所というわけだ。

アトラス加賀は加賀公園、板谷公園、石神井川に囲まれた新築マンション。新板橋駅からの帰宅途中に便利なスーパー「ライフ板橋駅」は徒歩7分。

アトラス加賀(※新築時のデータです)

価格
5,798万円~9,298万円
完成時期
2020年7月下旬(予定)
  • 東京都板橋区加賀一丁目3356-151(地番)
  • 都営三田線「板橋区役所前」駅 (A1出口) 徒歩10分 他
間取り
3LDK~4LDK
専有面積
72.20㎡ ~ 94.91㎡
総戸数
227戸
売主
旭化成不動産レジデンス株式会社
施工会社
株式会社長谷工コーポレーション

※データは2019年2月13日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。

評価の高い金沢小学校と加賀中学校が通学校

 その板橋区加賀にあって、「アトラス加賀」の建設地は3辺が緑に接する立地条件となる。南西側は板橋区の登録文化財に指定されている板谷公園、南東側は加賀公園。こちらは、近代史跡を保存する公園と再整備される計画がある。北東側には石神井川遊歩道があり、この遊歩道は都内有数の桜の名所として知られている。

 ちなみに、残る一辺・北西側は公道。つまり、すべての辺が開けて、潤いある場所にゆったり建設されるマンションとなるわけだ。

 これは、駅近マンションでは、なかなか求められない立地条件となる。駅近であれば、周囲を別のマンションやビルに囲まれることになりがち。緑に囲まれ、日当たりがよいなど住環境のよさは求めにくい。その点、「アトラス加賀」は駅近ではない分、環境のよさを備えたマンションとなる。

 教育環境もすぐれている。

 加賀エリアには学校が複数あり、文教地区の趣がある。同マンションに住んだ場合、通学校となるのは板橋区区立金沢小学校と加賀中学校。いずれも公立校として評価の高い小中学校だ。金沢小学校は、ほぼ半数の児童が中学受験をし、第一希望に落ちると第二希望ではなく加賀中学校への進学を選択する。そのような進学事情があるのも、加賀ならではだろう。

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アトラス加賀の周辺に大型商業施設がないのが残念

 立地の短所として挙げられるのは、大型の買い物施設が身近にないことだろう。

 スーパーマーケットはライフ板橋店が徒歩7分、マルエツ板橋駅前店が徒歩11分など。ほかに、都営三田線板橋区役所駅の近くにある仲宿商店街が徒歩9分、板橋宿不動通り商店街が徒歩8分など。

 買い物施設は多いものの、ららぽーとやアリオ、イオンといった大型商業施設はない。お洒落なショッピングセンターに出かけ、食事と買い物、そしてお茶を日常的に楽しみたいという人には残念な立地となる。それは、都営三田線沿線全体の弱点でもある。

 ただし、都営三田線の使い勝手はよい。まず、大手町駅に直結するなど都心中枢部を通るので、通勤の利便性が高い。板橋区役所前駅からは大手町駅まで直通18分、銀座駅まで28分の所要時間だ。都心中心部を横切るため、JRや地下鉄各線への連絡がよいのも特徴。都営三田線は、朝のラッシュが他路線と比べて緩やかという利点もある。

 また、少し歩くが、JR埼京線を利用すれば池袋駅や新宿駅へも行きやすい。

南向き中心の住戸構成で全227戸の大規模マンション

 恵まれた環境のなかにあって、「アトラス加賀」は、全227戸の大規模。南西向きと南東向きの南向き中心の住戸構成となる。

 その特徴は、「加賀」の美意識や豊かさ今に伝えようとする商品企画にある。敷地に対して、ゆったりと建物を配置し、石庭の趣のある中庭を広く取っている。駐車場は、機械式中心で85台分を用意。中庭を潰せばもっと多くの駐車スペースを用意できただろう。

 しかし、駐車場よりも、リッチな印象の中庭を優先したのだと考えられる。中庭の先には石神井川緑道があり、樹木の連続性を持たせるため、マンションを囲むフェンスの一部をガラス塀とした。

 住戸は70㎡台の3LDKが中心で、住戸内設備が充実する。キッチンには、ディスポーザー(生ゴミ粉砕処理機)と食器洗い乾燥機、天然石カウンターが標準設置となり、浴室のミストサウナ、トイレのタンクレス便器と手洗いカウンターも標準設置される。

6000万円台の3LDKは建物と住戸の質の高さを勘案すると割安

 価格は6000万円台の3LDKが中心となる。23区内では、7000万円を超える70㎡台3LDKが増えている中、それよりも、一段価格が抑えられている。

 もっとも、加賀エリアでは、これまで、もう少し広く、もう少し安い新築マンションが目立った。それを知っている人からすると、値段が高くなった印象を受けるだろう。ただし、「もう少し安かった」というのは、4、5年前の話。首都圏のマンション価格が本格的に上がり始める前の水準である。

 4、5年前と比べて、「高くなった」と非難するのは、酷な話だ。

 現在の首都圏マンション価格水準からすると、まだ抑えられた価格設定である。建物と住戸の質の高さを勘案すると、「アトラス加賀」は割安とさえ判定されるマンションである。

 

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