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カネと名誉と力と女
「会社は誰のものか?」という愚問

楠木 建 [一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授]
【第5回】 2012年6月21日
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 唐突ですが、質問です。以下の4つのうち、一つだけ手に入るとしたらどれを選びますか?
1. カネ
2. 名誉
3. 権力
4. 女(もしくは「男」)

 人によって答えは違うだろうが、そもそもこれは愚問である。わざと愚問を出して申し訳ございません。

世の中の事象は「つながって」いる

 なぜ愚問なのか。この4つの選択肢が相互に独立ではないからだ。独立でないどころか、かなりつながっている。この選択肢をみた途端、あなたもそれぞれの間にあるつながりを考えたはずだ。「カネ」を選んだ人であれば、即座にこういうことを考ええただろう。まずはカネを手にする。するとやりようによっては(たとえばある会社の大株主になって取締役に名を連ねるなどして)権力も手に入れられるだろう。そうこうしているうちに(大きなスケールの慈善事業や寄付をしたりして)名誉も手に入る。そうなれば、ほっておいても女(男)もついてくる……。

 別の選択肢からはじめて、つながりを考えた人もいるだろう。まずは権力を手に入れる。そうするとカネも手に入る。自然と名誉もついてくる。女(男)も寄ってくる……。こういうのもアリだろう。名誉を手に入れると、(たとえば選挙に当選するなどして)力も手に入る。そうしたらしめたもので、カネも女(男)もついてくる……。

 ま、いきなり女(男)からはじめてしまうと、カネが出ていくばっかりで、あとにはつながらなさそうだが、それはさておき、いろいろな順番で全部を満たす「ストーリー」を組み立てることができる。

 カネと名誉と力と女。身も蓋もない下品な話だが、何が言いたいかというと、そもそも相互につながっている要素のどれか一つを選んでも意味がないということだ。全部を満たせればそれに越したことはない。そのためには要素の間の相互依存関係をじっくりと読み取り、なるべく全部を満たせるようなツボを見極めるのがカギになる。

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楠木 建 [一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授]

1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。2010年5月に発行した『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)は、本格経営書として異例のベストセラーとなり、「ビジネス書大賞2011」の大賞を受賞した。ツイッターアカウントは@kenkusunoki


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