百貨店百貨店復活のカギになる戦略とは? Photo:PIXTA

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

アマゾンPBの人気の陰で
撤退する百貨店PB

 米アマゾンがプライベートブランド(PB)戦略を拡大しているのをご存じだろうか。

 実はアマゾンは「Presto!」「SOLIMO」「Elements」といったPBを、日用品やベビー用品、オフィス用品や文具、アウトドア関連といった120を超えるカテゴリーで展開しているのだ。

 中でも「低価格で高品質な商品提供」をうたい文句に世界展開する「ベーシック」が人気だという。PCアクセサリーやカメラ関連用品、オーディオ機器など、幅広いラインナップをそろえるブランドである。

 アマゾンジャパンのサイトをのぞいてみると、カメラのフラッシュやレンズのフィルター、三脚など、有名メーカーと同等の品質や機能の商品が半額程度の値段で並んでいる。しかも日本国内であれば1年間の保証が付くとなれば、思わずカートに入れてしまう人も多いのではないだろうか。

 PBといえば、三越伊勢丹ホールディングスの展開する「BPQC」が、2019年春夏シーズンをもって終了するという。売り上げが伸び悩み、黒字化が見込めないとの理由だ。

 BPQCのコンセプトは「良質適価、かつ高感度」。Amazonベーシックのコンセプトに似ているようにも感じられる。

 私のような中高年世代の感覚では、アマゾンよりも「三越」「伊勢丹」のブランド価値が勝るように思う。では、なぜAmazonベーシックとBPQCが、これほどまで明暗を分けたのか。