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異色対談 小飼弾vs勝間和代「一言啓上」

勝間和代vs小飼弾 異色対談第5回
「天才デフレ」の時代

【第5部】 2008年7月11日
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小飼弾(こがい だん)
小飼弾(こがい だん)
本職はプログラマー。専門書からマンガまで、彼が書評で紹介する本がことごとくベストセラーになる「カリスマαブロガー」。著書に『小飼弾のアルファギークに逢ってきた』があるhttp://blog.livedoor.jp/dankogai/

小飼 勝間さんのキャラクターづくりというのは、かなり意識してやっていらっしゃるんですか?

勝間 どうでしょうね。無理しない程度に(笑) 表も裏もポピュリズムにはしないということは意識しているんですけれども。

小飼 弱い人たち、お金がない人たちにもネットは使える。そこにとどまっちゃってるところに、ネットのポピュリズムという弱点がある。

勝間 同感ですね。

小飼 かつてブログで「小市民の敵は小市民」って書いたんですけども、弱い人に限って強くなった人をひがんで足を引っ張るんです。「悪いのは世の中じゃん」って。だったら、千年でも二千年でも待てばいい、世の中よくなるまで。それまで生きていられるんだったら(笑)

勝間 「努力不足の四段活用」と呼んでるんですけれど。まず自分の「努力不足」から始まって、「責任転嫁」するんです。会社が悪いとか、家族が悪いとか。次に「被害者」になる。「なんてかわいそうなんだろう、こんな時代に生まれて」みたいな。それで最後に「加害者」になって、他人の足を引っ張る。

小飼 足を引っ張った人が幸せになれるのであれば、僕の足でよろしければ引っ張ってもらいますよ。でも、もっと不幸になってるじゃん。

 僕自身もそういう傾向があるというのは否定しないし、だれにでもあるとは思うけれど。

勝間 だれにでもありますね。

小飼 そういうときのために「引きこもり」がある。他人を責めたくてしようがなくなったら、部屋に引きこもってカギをかけてイヤホンをして中島みゆきを聞きたくなくなるまで聞く。その後で足を引っ張りたくなるようなら、もう救いはない。

勝間 (笑)

小飼 ネットっていうのは優れた道具だけど、優れた道具には必ず両側に刃がついている。そういう意味では怖い時代です。

 筒井康隆の短編で『アフリカの爆弾』という話があったじゃないですか。あれと同じで、みんな原爆を持っているんです。お互い不幸になるために、それを使いますかと言いたい。

 話のついでに言えば、筒井康隆はすごいよ。ウェブも何もない時代から、あれだけ言い当てちゃってるんだから。真の天才。今の時代は、ああいう天才要求がデフレしてる。

勝間和代(かつま かずよ)
勝間和代(かつま かずよ)
知的生産術、決算書の読み方からフレームワーク力の鍛え方まで、彼女の書く本がことごとくベストセラーになる「知的生産術の女王」。近著は『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力』 http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/

勝間 すごいわかります。私、立花隆さんの大ファンなんですけれど、最近彼の本がパッとしないと思いません?。

小飼 いやあ、あれはすごい悲しい。数ある書き手のなかで、ネットの可能性に真っ先に気づいて啓蒙していたのが立花隆であるにも関わらず、いちばんネット耄碌したのも立花隆なの。泣きたいよ、僕は。もちろん今でもファンだけれど。

勝間 そうなんですよね。

小飼 ところが、筒井康隆は全然耄碌していない。この差はいったい何なんだろう? 2人とも天才なんですけど。物語力の差かな?

勝間 やはり、どこにバリュー・プロポジションがあったかの差だと思いますよ。

小飼 なんてことは2人とも考えてないと思うけど。

 でも、インプットをより強く必要としているのはノンフィクションライターである立花隆でしょう。インプット力がなくなったので、しゅるしゅるしゅるときちゃったわけですよね。

勝間 彼のインプット力がなくなったんじゃなくて、他人との格差が縮んだんですよ、どちらかというと。(ネットの普及によって)彼の圧倒的な情報収集力の優位性が薄れている。

小飼 ああ、そうかもしれないな。立花隆でなければアクセスできないような情報にド素人がアクセスできるようになったと。

勝間 『サル学の現在』を例に取れば、サル学の情報なんかネット上にはいくらでもあるんですよね。いろいろなデータベースがアップデートされていて、画像も見られて。

小飼 でも、文系で自然科学にあそこまで強い人はいないので、僕としては復活してほしい。はい、はっきり言って贔屓入ってます(笑)

 これも話のついでに言えば、今売れてる本というのは、必ずどこかに「肉体性」を感じさせるんですよ。頭だけで書いたものは売れない、ほんとうに。だから、プロレスみたいになっちゃうけど、本を書くなら肉体を鍛えろと。立花隆も肉体が衰えているんじゃないでしょうか。

勝間 ジム・ロジャーズがまだ面白いのは、彼が肉体で書いてるからですよね。久しぶりに『アドベンチャー・キャピタリスト』を読んだのだけれど、ほんとに面白い。全世界をクルマで走って、自分で確かめたことを全部ドキュメンタリーにしてるんですよ。 

対談の最終回テーマは「ダイヤモンド・オンラインのここが勘違い」

 このダイヤモンド・オンラインも、記者が足で稼いだ情報より、識者が頭で考えたコンテンツが多いですよね。やっぱり、面白い雑誌って足で稼いで汗水垂らして書いてるじゃないですか。もっと増やしたほうがいいと思いますよ、肉体言語的なコンテンツ(笑)

(次回最終回は7月16日掲載)

企画構成/『週刊ダイヤモンド』副編集長 藤井一  撮影/住友一俊

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知的生産術の女王・勝間和代、カリスマαブロガー・小飼弾が、ネット広告から、グーグルの本質、天才論に至るまで持論を徹底的に語り合った。豪華対談を6回にわたって連載する。

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