景気後退リスクが増大、来年末までに「日経平均1万5000円・1ドル90円」も視野「魚の頭と尻尾はくれてやれ」は長期投資で成功する基本原則の1つ Photo: REUTERS/AFLO

 日本の株価は年初に日経平均で1万9000円台に下落した後は、高値も安値も更新することなく、方向感がないまま揺れている。

 言うまでもなく、今の市場にあるのはこの先の景気動向への不安である。中国をはじめとする新興国や欧州の景気失速で世界景気は足もと下向きであり、米国経済も2018年は「トランプ減税」の効果で上振れたが、2019年にはその効果が剥落し、かなりスローダウンするだろう。

 日本も今年10月には消費税率の2%ポイントの引き上げが控えており、このまま海外が景気後退に移行するなら、個人消費を中心に内需成長力の弱い日本経済も景気後退となるのは不可避だろう。その時、日本の株価はどの程度下がるだろうか。円相場はどうなるだろうか。その点に関する最新の分析と見通しを示そう。

 結論から言うと、今年後半に海外と日本の景気が持ち直すとの期待もあるようだが、その可能性は控えめに言っても高くない。仮にそうなった場合でも、株価の上昇余地は相対的に小幅だろう。

 むしろ2020年末までを展望すれば日米欧中が景気後退に移行する可能性は高く、その場合、日経平均は1万5000円前後までの下落、ドル円相場は1ドル90円前後までの円高をとりあえず覚悟した方が良いだろう。

株価指数変動のマクロ経済要因

 個別株の将来予測は変数(要因)が多すぎて手に負えないが、株価指数の変動はマクロの経済統計から得られる変数で比較的簡単に説明できる。

 本論では日経平均株価指数(以下、日経平均と記す)を対象にするが、株価の中長期的な変動要因はなんといっても1株当たりの企業利益である。そして企業利益全体は景気動向に依存している。日本で景気動向を最も包括的にモニタリングしている指標は内閣府の景気動向指数(CI)である。

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