佳食漫遊!ニッポンの郷土料理
【第24回】 2012年6月13日 橋本裕之

焼き鯖のへしこ、塩ウニ――福井の美酒と味わう北陸発の大人の愉悦

 今回は福井編である。元々、福井(越前・若狭)は京都に近いこともあり、古くから水産業や西廻り航路を中心とした海運業を中心に栄えた場所である。

 東北、北陸の各地から敦賀・小浜に荷揚げされる物産のほとんどは、京・大坂で消費・加工される品だった。一方、それらを原料に加工された手工業生産物や、お茶などが、東北、北陸の各地へ運ばれていった。食べ物も京都など畿内地方の影響を受けて、上品なものが多いのが特長である。

 そんな福井名産の料理を出す店が、東京にあった。名前は『北陸王』。

 なんともインパクトのある名前である。オーナーが福井の出身で、9年前に日本橋室町、7年前に品川に出店して、福井県出身者を中心に舌を楽しませているという。これは期待できそうな店である。

「たくあんの煮たの」は、
たくあんとは似てない食感

奥から『たらの華』、『ホタルイカの素干し』、『福井梅』、『たくあん煮』、『花らっきょ』とお通しから福井名産オンパレードだ。

 まずは最初のお通しがでてきた。

「おお~!お通しから福井オンパレードだね」

 5種類のつまみが並んでいる。どれも福井ならではのものだ。

 まずは『たらの華』。スケトウダラを干して塩で調理したもので、そのままつまみとして食べるだけでなく、ご飯と一緒に食べるということだ。

『ホタルイカの素干し』は福井だけでなく日本海側で広く食べられる珍味である。

 梅干しは『福井梅』を使用。この梅の産地である若狭町西田地区は、日本海側でありながら温暖な気候で、江戸時代の天保年間(1830~1844)から受け継がれている歴史ある梅林があり、梅の実の加工品が有名な場所だ。

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橋本裕之

飲食店から蔵元訪問など、豊富な食べ飲み歩きの経験から、出版やWEBなどで、食と酒をテーマにした編集やライティングに関わる。過去の執筆に『dancyu』(プレジデント社)、『本格焼酎ぐびなび』(誠Style)など。SSI認定焼酎アドバイザー。ティーコンシェルジュ2級。


佳食漫遊!ニッポンの郷土料理

土地々々の風土に磨かれ、伝え継がれてきた日本の郷土料理を、料理の歴史や地域の慣習などを交えて紹介。その素晴らしさ、味わい深さを再確認していただければ幸いです。

「佳食漫遊!ニッポンの郷土料理」

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