今年4月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は、中核子会社である三菱UFJ銀行の三毛兼承頭取がFG社長を兼務する体制を敷いた。三毛新社長にガバナンス上の課題認識を問う。

三毛兼承氏Photo by Kazutoshi Sumitomo

――新社長としての抱負は。

 前任の平野(信行・現会長)は、6年の任期中、ガバナンスの高度化などさまざまな功績を残してくれました。私は今回、持ち株会社社長と銀行頭取を兼務しますが、リーダーシップを発揮し、私たちが掲げる構造改革の速度を上げてやり抜くことが大事な使命です。

 今、技術の進化に伴い、顧客ニーズは大変な速度で変化し、他業種からは次々に新サービスが提供されています。その中で私たちが顧客から安心して選ばれるように、グローバルに信頼、信用され、同時にイノベーションを象徴する存在にしたいと考えています。

――社長と頭取の兼務に対し、経営のかじ取りの難化を指摘する声もあります。この状況で、どのテーマに集中して取り組みますか。

 もちろんガバナンスという観点では、持ち株会社と子会社のトップを別々にした方が良いというのが原則です。今回の兼務について、取締役会や主に社外取締役で構成される指名・ガバナンス委員会で何度も議論を重ねました。