「会社を変えたい」と思ったときに考える、新卒の採り方・育て方時代の変化とともに価値観が大きく変化する学生が増えるなか、これまでの「会社都合」のやり方では、イノベーションをリードするような人材を獲得するのは難しくなった(写真はイメージです) Photo:PIXTA

時代の変化とともに価値観が大きく変化する学生が増え、新卒の採用にも通年採用が徐々に浸透し始めている。そうしたなか、これまでの「会社都合」のやり方では、イノベーションをリードするような人材を獲得するのは難しいと僕は思う。今回は、新卒が一人前のプレーヤーとしていち早く活躍できる企業であるために、必要なマインドセットについて考えてみたい。(freee株式会社CEO 佐々木大輔)

一人ひとりをどれだけ深く知るか
通年かけても難しい新卒採用

 最近でこそ通年採用が徐々に当たり前になってきているけれど、僕が新卒の時代はそうじゃなかった。

 僕が博報堂に入ったきっかけも、たまたま7月くらいまで採用募集をしていたことが大きい。もちろん、インターン時代に働いていた会社の、最大手の取引先が博報堂だったから、そこに入社すればもっと大きなやり甲斐のある仕事ができるのでは、という期待は純粋に大きかった。

 ただ、僕がスウェーデンでの留学を終えて帰国した大学4年生の5月といえば、大抵の会社が新卒採用の募集を締め切っていた時期だった。選択肢があまりなかった、というのが実状である。

 5月以降もまだ募集しているのは、かなり稀有な会社か留学経験がある人材を積極的に採りたいグローバル企業で、そういうところがちらほらある程度だった。その当時は、「そういうものか。一般的なレールに乗っていない人はダメな社会なんだな」くらいに思って就職活動をした記憶がある。

 これまでの連載でも述べた通り、博報堂はいい会社だった。けれども、僕自身が「どれほど面白い広告を打つか」ということにあまり興味がないなかで広告代理店に入ってしまったので、それはお互いにとってあまりハッピーではなかった。結局、2年ちょっとで辞めることになった。

 今は、freeeも含めて通年採用をする企業は確実に増えている。新卒の一括採用は、会社にとって効率よく新卒を採用することが大きな目的であり、学生にとっては歓迎すべき状況になっているんじゃないだろうか。