まるで“浮き輪”のようなお腹まわり・・・このポッコリお腹をなんとか凹ませたい。
でも、「あんまり頑張らずに」ってのが人情ですよね。
運動すれば痩せるのはわかってる。
けれど、それができない。やりたくないんですよね。
わかってます、わかってますとも!
その体脂肪、運動ナシでも落とせる方法を教えましょう。

【金スマで話題沸騰!】<br />スリムな体型と健康を<br />キープする唯一の方法<br />

 私が理事長を務める高雄病院では1999年から、当時院長だった私の兄である江部洋一郎が、日本で初めて糖尿病治療に糖質制限食を導入していました。
 当初の2年間くらいは「兄貴がまたヘンなことをやっているわ」と、私も、3人いた管理栄養士も傍観していました。
 ところが、患者さんの血糖値が、薬に頼ることなくみるみる改善していったのです。
 内臓脂肪もみるみる減って、肥満が解消するのを目の当たりにすると、完全に兄を見直すようになりました。
 さらに私自身も糖尿病を発病するに至り、ものは試しと、糖質制限食を試してみることにしました。すると、驚くような成果が得られたのです。

 体重は半年で67kgから57kgへと10kg減少。
 学生時代の体重に戻り、お腹の内臓脂肪も減ってメタボが解消しました。
 その後、体重はいまに至るまで17年間変わっていません。

 私はメタボと糖尿病が発覚した52歳で、糖質制限を始めました。
 そこから半年で体重が10kg落ちて、血圧などの健康データも正常化しました。
 コンピューター断層撮影装置(CT)で「126cm2」もあった内臓脂肪の断面積は「71cm2」へと激減しました(CTを撮ったのは2年後でしたが、半年後に体重が落ちて健康データが正常化した時点で、おそらく内臓脂肪の断面積は同様に減っていたと考えられます)。

 ヘモグロビンA1cは、3週間後には6・7%から6・0%へと下降し、糖尿病の診断基準を下回るまでに改善。
 その後もずっとヘモグロビンA1cは5・6~5・9%という安全圏内で、父のように糖尿病で足を切断したり、心筋梗塞を起こすリスクは皆無といえます。
 第1回の連載で述べたような超健康体が、食べトレだけで保たれているのです。

運動なしでも健康に痩せられる

 拙著『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』では、私自身が実践して内臓脂肪を減らし、メタボや糖尿病の克服に大きな威力を発揮した食べトレの理論と実践についてお伝えしています。
 ご飯やパン、麺類などの糖質を制限するというと、何かマニアックな食事のように思えるかもしれません。
 でも、本書で詳しくお話ししていますが、そもそも糖質制限食こそが、私たち人類本来の正解の食事なのです。

 米や小麦などの穀物は、なんとなくヘルシーなイメージがあり、子どもにも「ご飯をいっぱい食べなさい」とすすめているかもしれませんが、実は人間にとって“異物”です。
 毒とまでは言いませんが、“中毒性”が高く、不健康な食べ物なのです。

 私たち人類の歴史はおよそ700万年といわれますが、その長い歴史からすれば、穀物などの糖質を摂るようになったのは、“ごく最近”のことです。
 穀物というでんぷん食品を日常的に食べるようになったのは、世界的には農耕が始まった1万年前からですし、日本では2500年前の弥生時代以降です。

 人類の歴史でほとんど糖質を摂ってこなかった私たちの体は、いまのように糖質をたくさん摂る食生活には対応できていません。
 700万年かけて作り上げた体質は、そんな短期間で変化・適応させることはできないのです。

 私たちの体は食べるもので作られていますから、体質に合わない糖質をたくさん食べ続ければ、病気になっても仕方ありません。
 実際、世界中で糖尿病が蔓延しています。
 糖尿病が強く疑われる患者さんは、日本だけでも1000万人を超えており、世界の糖尿病人口は4億人を超えています。
 糖尿病だけではありません。日本人の死因の上位を占めているがん心臓病脳卒中は、いずれも糖質の摂りすぎによるもの。いわば“糖質病”なのです。
 この他にも、認知症やアレルギー疾患のように原因がわからない現代病の多くも、実は“糖質病”だと私は考えています。

 食べトレ(糖質制限と1日2食の半日断食)は、運動なしでも内臓脂肪がストンと落ちるので、体型を改善できるのはもちろん、病気を防ぐいちばんの方法です。