平成の家族平成30年間で私たちの価値観はどう変わったのでしょうか Photo:PIXTA

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

平成はどんな時代だったか

 あと数日で、2019年が「平成31年」から「令和元年」に変わる。

 では30年前、「平成元年(1989年)」の自分が何を考え、どんなことをしていたかを、どれくらい覚えているだろうか?

 私は結構、あれこれと覚えている。

 なぜかといえば、平成元年が私にとって節目の年だったから。京都の大学院を修了し、就職。上京し社会人生活を始めたのが、この年だった。

 平成元年は「24時間タタカエマスカ」が、新語・流行語大賞の授賞語の1つに選ばれている。これは、当時新発売された栄養ドリンクのCMソングの歌詞の一節だった。

 新人時代の私は、この歌を口ずさみながら真新しいスーツに身を包み、超満員電車に揺られながら、郊外の独身寮から都心のオフィスに通勤していた。

 ダイナブックが発売されたのも平成元年だ。東芝が開発した世界初のノート型パソコンである。高機能かつコンパクトなデザインに引かれ、新卒初任給くらいの価格なのに無理して買った記憶がある。

 国内では初めて消費税が導入された。当時はまだ「3%」だった。世界では、ベルリンの壁が崩壊し東西ドイツが統一。これらも平成元年の出来事だ。

 世界を真っ二つに分けていた冷戦の象徴だった「壁」を、人々がツルハシで壊していく。そんな映像をテレビで見ながら、漠然と「自分も何かをしなくては」と感じたのを覚えている。

 いろいろと思い出してみると、平成元年の日本や世界を覆っていた空気がなんとなく見えてくる。その年は、まだ高度経済成長からバブルに至る勢いが残っていた。しかし同時に、いろいろなものの流れが少しずつ変わり始めたように感じられた。