「こころの健康」を取り戻すための法制化の動きが具体化している。

 これまで「心に疾患がある」などと言うと、何かと誤解や偏見、差別的な目で見られることも少なくなく、そうした空気が本人や家族を地域に埋もれされる一因にもなってきた。

 そんな中で、個人の尊厳や精神的に充実した生活の営みを尊重する「こころの健康基本法」の制定を求め、「引きこもり」「精神疾患」などの当事者や家族、関係者など約230人が6月7日、衆議院第二議員会館で集会を行い、72万人分の署名を国会へ提出した。

 こうした動きを受けて、超党派の国会議員でつくる「こころの健康推進議員連盟」(会長・石毛鍈子衆院議員)は、今国会会期中の法制化を目指し、同法案の骨子をまとめた。

 しかし、(社)日本精神科病院協会などからは「既存の関係法の屋上屋を重ねるものだ」という反対声明が出されるなど、「こころの健康」を巡っては、今後も議論が予想される。

 集会を主催したのは、(社)「全国精神保健福祉会連合会」(川崎洋子理事長)や、NPO法人「全国引きこもりKHJ親の会・家族会連合会」(池田佳世理事長)などの5団体でつくる「こころの健康基本法の法制化を求める市民の会」。賛同団体には、全国の約130団体が名を連ねている。

 会場には、50人ほどの超党派の国会議員(秘書も含む)が駆けつけ、立ち見の参加者であふれるほどの熱気に包まれた。

「誰にも相談できず、死にたい気持ちに…」
当事者、家族たちの悲痛な叫び

「小さい頃から、喘息が重くて何回も死にかけたり、病棟で友人が亡くなったりする経験をしてきて、思春期は本当につらかった。ずっと死にたかったのに、死にたいって、誰に言っていいのか、わからなかったんです」