ゴールに向かっている感覚を持っているか

 7番目は住環境、「住む場所をしっかり選んでいる」こと。どんな仕事をして、どんなライフスタイルを送りたいから、それを実現するためにどんなところに住めばいいかを考える。どんなに便利な場所やすばらしい家に住んでいても、自分のスタイルに合っていないのでは、その環境自体がストレスになってしまうからです。

 家を購入するという観点から考えると、日本のように20年、30年で家の価値がゼロに近くなってしまうというのは大きな問題でしょう。北欧の人たちの多くは、サマーハウスを持っていますが、基本は親から引き継いだもの。そして自分が買った家が、引退したときに買ったときの値段よりもいいバリューで売れるので、それを売って、小さな家とサマーハウスを買うケースが多いのだそう。

 日本では、買ったときより高い価値で家が売れるというのは難しいでしょうが、リサーチさえすれば、少なくとも価値が大きく目減りしないものを選ぶことは可能です。年金も期待できない中、家が資産になるか負債になるかで、人生はずいぶん変わってくると思います。

 8番目に、やっぱり重要なのは「考え方」、「いい考え方のクセを持っている」ことです。たとえば、なんでも人のせいにしがちな人や、常にマイナスに考えてしまう人、すぐに言い訳を考えてしまう人、常識にばかりとらわれている人はうまくいきません。そもそもそういう考え方では、まずここにあげた条件が揃うこともないでしょう。

 9番目は、「将来の見通しが立っている」こと。幸福度を下げる大きな要因が、将来どうなってしまうのかわからないという不安だからです。北欧の国々では、年金をもらって悠々と生きていくことはさすがに難しいものの、急に病気になっても医療費は無料だし、たとえ会社をクビになっても手厚い失業手当があります。目の前の生活が急に崩れることはないでしょう。

 しかし、残念ながら日本の場合、国には頼れません。描いていたストーリーが崩れても、少なくとも数年はやっていける状況を自分でつくっておかなければならないのです。

 最後は、「ゴールに向かっている感覚を持つ」こと。マラソンにしても、ただ走っているならつらいだけですが、42・195キロというゴールがあるからこそ楽しい。目標やゴールに向かっているとき、人間はつらさを感じないものです。

 これらの条件の多くに共通しているのは、仕事やお金や時間や場所、さらに常識に縛られず、自由でいること。そして、自分で選択すること。北欧の人たちを見て、強くそう感じました。