株式レポート
6月14日 18時0分
マネックス証券

ユーロドルとスペイン国債金利〜異なる動き〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・今週末にギリシャの総選挙を控え、世界の株式市場で膠着感が強まっている中で、欧州債務問題に対する市場の思惑は揺れ動いている。5月初旬にユーロ離脱リスクが台頭してから、為替市場でユーロ安が進み、銀行資本不足への疑念などを背景にスペイン・イタリアなどの国債金利は上昇した。

・6月初旬まで、欧州債務問題に対する市場の懸念が高まり、ユーロ安とスペイン金利スプレッド(=対ドイツ利回り格差、スペイン国債の不履行リスク)の上昇がほぼ連動する格好で続いた。6月に、ユーロドルは1.2288までユーロ安が進み、スペイン国債金利スプレッドは5.4%ポイントまで上昇した(グラフ参照)。その後、スペインの銀行支援策への期待でスペイン金利が低下すると、ほぼ同時にユーロ高となった。


・ただ、6月になってから両者にやや異なる動きがみられる。今週、スペイン10年金利スプレッドが再び上昇し6月初旬の水準に近づいている。銀行への救済策で資本不足が解消されても、この措置で民間銀行や投資家が保有するスペイン国債の毀損率が上昇する、との疑念が高まったようである。

・一方、大きく動くスペイン国債金利スプレッドに比べて、為替市場でのドルユーロの変動は穏やかである。6月1日のユーロドルの直近最安値と比べると、ユーロ高水準にあり、昨日もユーロが買い戻された。今朝のスペイン国債格下げ報道にも、ユーロドルは大きくは反応していない(前出のグラフ参照)。

・ユーロが買い戻されている要因として、ギリシャで緊縮財政を全面否定していた急進左派がこれまでの姿勢を修正し、EUなどと緊縮財政について再交渉する姿勢をみせたことが材料になっているとみられる。ギリシャの再選挙は支持率が拮抗し結果は分からないが、どちらが勝利してもEUが求める緊縮財政政策をギリシャが受け入れる現実的な政治選択がとられ、「ユーロ崩壊リスク」がやや低下しているとの思惑である。

・為替市場は、すでにギリシャの再選挙への思惑を前提に動いているが、この流れは来週も同じだろう。一方、ユーロ体制への不信に起因する、「景気悪化、財政問題、銀行破綻(資本不足)、国債金利上昇」という「負の悪循環」である、欧州の根本問題が依然変わっていないことを、スペイン国債金利の値動きは表している。足元の両者の動きの乖離について、冷静に判断することが必要だろう。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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