アパレル業界消費者のニーズが多様化し、アパレル業界は変革を迫られています Photo:PIXTA

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

ユニクロのフリースブーム、ファストファッションの上陸…
「10年周期」で訪れるアパレル業界のパラダイムシフト

 私はファッションに、そうとう無頓着だと自覚している。持っている服は、おそらく同性同年代の他人と比べて、かなり少ないと思う。

 おしゃれをしたい、という気持ちがないわけではない。だが、そのために時間と労力を費やすのがもったいないと感じてしまう。

 そもそも自分にファッションセンスがあるとは思えない。だから、投資するかいがないのだ。

 普段着ている服の一部が擦り切れたり破れたりしない限り、新しい服は買わない。丈夫で長持ちする服を、飽きずに何年も着ている。

 先日、昔の写真を整理していた時に、20年前の若き自分の姿が写っている1枚に目がとまった。まさに今着ているのと同じジャンパーを羽織っていたからだ。我ながら「さすがだな」と感心した。

 そんなありさまだから、服を買うのは年に1回あるかないか。仕方なく買いに行く時は、あちこち店を巡っての比較検討など、もってのほかだ。時間の無駄である。

 適当に品ぞろえの多そうな店に入り、何となく似合いそうな服をサッと選び、迷わず買う。

 自分では合理的な生活だと満足しているのだが、こんな人間ばかりになったら、きっとアパレル業界は先細りに違いない。

 もちろん、私のような人ばかりではないはずだ。しかしながら、今のアパレル業界では、各社が生き残りをかけた大変革を余儀なくされているという。

 消費者の価値観が多様化し、流行を追うだけでは済まなくなった。その上、流通改革により消費者の選択肢が増えたことが、背景にあるようだ。