固定費を管理可能費と管理不能費に分類する

 次に、固定費についてです。これは、ビジネスパーソン自身、もしくは自身が所属する部署など、自分の責任範囲となる経費(管理可能費)とそうでない経費(管理不能費)とに分けて考える方法です。

 管理可能費は、自身の活動、もしくは所属部署で発生する経費です。営業職であれば、旅費交通費や接待交際費、通信費などが該当しますし、製造職であれば、工場の現場で担当している範囲の製造原価が該当します。またマーケティング職などでは、担当する分野の広告宣伝費が責任範囲となります。

 一方で、管理不能費の代表例となるのが、本部経費や共通経費と言われるものです。これは、ビジネスパーソンが自身の努力ではコントロールできないという意味でこのような名称となっています。

 そして先ほどの限界利益からこの管理可能費を差し引いた数字が、貢献利益と位置付けられるものです。

 先ほどに引き続き、具体的な数字を使って検証してみましょう。

  ・社員C:限界利益500万円-管理可能費50万円=貢献利益450万円
  ・社員D:限界利益500万円-管理可能費100万円=貢献利益400万円

 この例を見て頂くと、限界利益という点では同額です。しかし、管理可能費で発生しているコストの面で社員Cが社員Dよりも少ないことがわかります。

 このため、貢献利益で見ると、会社としては社員Cを評価することになります。

 このような事例としては、売上や限界利益はしっかり出しているものの、出張旅費が多かったり、接待交際費が多額になるケースなどが該当します。しかし、従来のように、売上だけの評価、また限界利益だけの評価だと、これらの数字は見えませんでした。

 このように、営業活動で発生する経費も管理可能費も含めて評価することで、本当の意味で、どれだけの貢献利益を生み出しているのかがわかります。

 ビジネスパーソン自身も、管理可能費までを視野に入れたうえで、貢献利益を意識して仕事に取り組むことが求められています。