物質的には恵まれているのに
制約やストレスが多い日本

 北欧の人たちのこうした答えを聞いて、私は物質的なモノから幸福感を得られる時代は終わったということを実感しました。

 なにより、モノから得られる幸福は、続かないのです。たとえばどんなに「すごい時計を買った」としても「すごい車を買った」としても、買ったときの一瞬ものすごく満足度はありますが、ずっと継続するわけではありません。そのあと毎日、それがあるからハッピーだと感じられることは、そうそうないでしょう。

 さて今、この質問を日本人にしたらどうでしょうか? もちろん世代によって大きく違うとは思いますが、まだまだ「モノ」をあげる人は多いのではないかと思います。

 今回、インタビューをしたフレデリック・ディットレーヴ・オッテトロエルさんは、MBAを取得するため一橋大学に留学をした経験があります。彼は日本の印象をこう話してくれました。

「文化や政治など、構造的な理由もあるとは思いますが、日本にはいろんな制約があって、自分の行きたい方向に自由に進んでいけない気がします。だから個人個人が自分の能力を生かして、(仕事などを)実現していきたいと思っても、それをやらせてもらえない」
フレデリック・ディットレーヴ・オッテトロエルさん/デンマーク/製薬会社勤務

せっかく世界的に見ても物質的に恵まれた国なのに、制約がありすぎる。日本の幸福度ランキングが低い理由は、そこにあるのではないか、と。
また同じように日本で暮らした経験のある、ピア・ウォルヴァーグさんの印象は次のようなものです。

[北欧現地インタビュー:幸福観とモノ編]<br />物質的なモノから幸福度を感じられる時代は終わった

「日本は忙しすぎると思います。もうちょっとスピードを下げて、少しスローダウンしたほうがいいのかもしれないですね。それから仕事など、社会のストレスがあるのかもしれません」
ピア・ウォルヴァーグさん/スウェーデン/ヨガスタジオ経営

 さて、みなさんはどう思われたでしょうか。

 次回は、北欧の人たちの「お金と時間」について、見ていきたいと思います。

 ※次回配信予定は6月22日(金)です。


【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

[北欧現地インタビュー:幸福観とモノ編]<br />物質的なモノから幸福度を感じられる時代は終わった定価:1,470円(税込) 四六判・並製・192頁 ISBN978-4-478-014707

◆本田 直之『LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。
北欧諸国があらゆる「幸福度ランキング」で上位を占めているのはなぜか。世界的に見ても豊かなはずの日本が、どうして81位なのか――。
ハワイをベースにノマドライフを実践する本田直之が幸福度ランキングトップの北欧(デンマーク、スウェーデン、フィンランド)の人たちと幸福について語り合って得た、確信。

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