5月下旬に行なわれた「行動経済学フォーラム」では、専門家5人が「バブルの正体」について熱い議論を交わした。バブル発生と崩壊のメカニズムを分析した前回のレポートに引き続き、今回は「バブルとのつき合い方」をテーマに展開された討論の模様をお伝えする。

司会進行役の真壁昭夫氏(信州大学経済学部教授)をはじめ、柴崎健氏(みずほ証券金融市場調査部チーフファイナンシャルアナリスト)、小幡績氏(慶應義塾大学経営管理研究科准教授)、俊野雅司氏(大和ファンド・コンサルティング上席研究員)、勝間和代氏(経済評論家)といった日本を代表する専門家たちの示唆に富んだ意見に耳を傾けよう。果たして「バブルで勝つ人、負ける人」の違いとは何だろうか?(取材・文/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)

金融危機の教訓を専門家5人が検証!<br />「バブルで勝つ人、負ける人」の投資心理
「バブルで大儲けする人と大損する人」の差は、何故生じるのか?これは多くの投資家が気になることだ。専門家5人が、その理由を徹底分析する。

真壁 バブルはなぜ発生するのか――。世界的な経済危機の「底打ち期待」が広がり始めた今、その原因となった「金融バブル」の正体について、各分野の専門家の皆様に興味深いレクチャーをしていただきました。

 それでは、ディスカッションに移りましょう。我々は、常に身の周りで発生し続けるバブルとどのようにつき合って行くべきか、考えなくてはいけません。

 まず、バブル時に株式や不動産投資で「稼げる人」と「損をしてしまう人」は、どこに差があるのか? パネラーの皆様にご意見をうかがいたいと思います。たとえば、今手元に1億円あるとします。「これからバブルが起きそうだ」というときに、どういう行動をとったらよいでしょうか?

柴崎 エコノミストの立場から言えば、やはり長い目で考えたほうがよいと思います。人には、「なくしてよいお金」と「なくしたら死んでしまうお金」の2種類がある。長い目で見て、損をできないお金はしっかり確保しておき、投資できるお金で「割安な銘柄」を買うのが理想でしょう。

小幡 私だったら、1億円投資して、1億2000万円くらいで売って、1億円のマンションを買って、残り2000万円のうち100万円くらいでオプション(宝くじ)を買って、後は自分の研究に使いますね・・・・・・。

 何故かというと、資金を小分けにしておいても、バブルが起きれば次から次へと投資してしまい、「気が付くと全額投資していた」なんてことになりかねないから。それなら、早めにギャンブルから下りて、「ギャンブルできないモノ」に変えてしまったほうが安全です。