「本をもっと読んだほうがいい」と勧められて、拒絶する人はいないだろう。ただし、「時間があれば」という条件付きの同意であることがほとんどではある。現代人は情報の渦に飲み込まれており、意識して流入を断ち切らなければ、本を読む時間などないのは当然だ。米国のベストセラー作家で年間100冊以上の読書を実践する筆者が、心身の健康を保ち豊かな人生を歩むために、より多くの本を読むための8つの実践法を提示する。

「本をもっと読んだほうがいい」

 私がこう話すと、ほとんどの人は「そう、たしかに」と答える。だが、2秒後にはこう言う。「時間があればいいのだけれど」

 ご存知だろうか。私はそうした口実を「言い逃れ」と呼んでいる。なぜなら実際には、時間はあるからだ。

 カリフォルニア大学の報告によれば、現在はかつてないほど多くの情報が消費されている。具体的に数字を挙げれば、1日当たり10万語を超える情報量だ。毎日どれくらいの携帯メール、アラート、通知、仕事のメール、個人的なメール、ニュース速報、株式市況、ブログ記事、ツイッターのつぶやき、そしてインスタグラムのコメントを読んでいるか、考えてほしい。

 こんな不要のデータすべてに目を通している現状で、本を読む時間がまだ残っている人など、果たしているだろうか。

 私が以前寄稿したHBR記事「これまでよりずっと多くの本を読む8つの方法」では、私自身、大人になってからというもの、年にせいぜい5冊程度しか読んでこなかったことを告白した。ベッドのサイドテーブルに置いた数冊を何ヵ月もかけて少しずつ読み、そして運がよければ長い休暇のときに2~3冊を読む程度だった。

 だが、3年前には50冊読んだ。なんと50冊!1年間に、である。自分でも信じられなかった。このように読書のペースが速くなったことが連鎖反応をもたらして、よりよい夫、よりよい父親、そしてよりよい著作家になりつつあると、突然実感することができた。

 それ以来、読書量を増やすように心がけてきた。現在の読書量は年間100冊を超える程度だ。たしかに、時にはペースが落ちたり、ほとんど読まなかったりすることもあり、またソーシャルメディアのブラックホールに、いつの間にか吸い込まれていることもある。

 それでも、再び軌道に戻るために、私が新たにやっていることが8つある。それを以下に紹介しよう。