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6月20日 18時0分
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当面はリスクオフの巻き戻し - 戻りを試す展開か - 広木隆「ストラテジーレポート」

TOPIXがリーマンショック後の2009年3月につけたバブル崩壊後の安値を更新した6月4日。まさにそこが当面の安値となった感がある。筆者は4月の下げ局面で押し目買いを推奨し、見事に外すこととなってしまい面目を失ったが、その買いを主張した根拠は「悪ければ悪いなりに追加緩和期待が市場を支えるから」というものだった。結果として2カ月遅れとなったが、ようやく想定したような展開になりつつある。米国のFRBによる追加緩和期待に加え、グローバルな協調への信頼、政策対応への期待が市場の不安を後退させつつある。4月から約2カ月続いた「リスクオフ」の巻き戻しで、相場は戻りを試す局面と考える。

欧州不安の後退

そもそもこの2カ月、相場が崩れた原因は欧州の債務不安の再燃であった。端的に言えば、ギリシャ再選挙の結果次第ではギリシャがユーロ圏を離脱しかねないとの懸念が高まる一方、スペイン発の金融危機が意識されスペインの国債利回りが急上昇した。しかし、この二つのリスクは、後退したと言えるだろう。ギリシャでは緊縮推進派の旧与党が勝利して、連立政権を樹立しEUとの協議に臨む見通しとなった。将来的には分からないが少なくとも早期にギリシャがユーロ圏を離脱することはなくなった。スペインについても、一番根深い問題である銀行への救済資金投入は正しい対処法であり、1000億ユーロという額も十分だろうと思われる。

懐疑派・弱気派の論調を集約すれば「まだ欧州債務危機が根本的に解決したわけではない」というものだろうが、これは何度も繰り返している通り、一朝一夕の解決などあり得ないわけで、要は改善に向けて各国が適切な姿勢を市場に示せるかどうか、である。この意味からしても、スペインの金融支援パッケージの大枠決定やギリシャの緊縮派の勝利は、いい材料か悪い材料か、と言えばいい材料に決まっている。これが明らかになる前の混沌とした不透明感が強い状況からは確実に状況は改善している。敢えて荒探しをする必要はないだろう。

先日来、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が積極的に市場の不安を緩和させる発言を行っている。例えば先週も、「ユーロシステムは、必要なら支払い能力のある銀行に引き続き流動性を供給していく」と述べ、これまでに実施した2回の長期資金供給オペ(LTRO)により、深刻な信用ひっ迫が回避されたことを強調し、「ECBは、適切な担保と引き換えに健全な銀行に流動性を供給するという需要な役割を担っている。中期的な物価安定の維持という責務を忠実に守りながら、危機下でこのことを実行してきたし、これからも実行していく」と言明したと報道されている(ブルームバーグニュース)。

メキシコのロスカボスで開催されていた20カ国・地域(G20)首脳会議はユーロ圏が安定確保や市場機能改善、国家と銀行の悪循環を打破するために必要なあらゆる政策措置を講じる、などとする声明を採択して閉幕した。これに対して懐疑派・弱気派は「掛け声倒れ」「口だけ」「具体的な施策が見えない」などと批判するかもしれない。しかし、このG20では重要な決定がなされている。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、欧州債務危機の波及阻止に向けたIMFの資金基盤強化について「(融資枠が)約4560億ドルに拡大した」と発表した。融資能力はほぼ倍増されることになる。今回、12カ国から新たな拠出表明があり、拠出協力国は37カ国になった。新興国では、中国が430億ドルを拠出する意思を表明。ブラジル、インド、ロシアは各100億ドルを拠出する。

世界が協調して欧州危機の封じ込めに動いている。当局、要人からの前向きなコミットメントも増えている。安全網は以前に比べ着実に整備されつつあると言えるだろう。そうしたなか、まずは今晩の米国のFOMCの結果と次は来週のEU首脳会議が焦点となろう。

チャート面からも短期的な底打ちを示唆

日経平均は下放れて年初来安値をつけた6月4日、下ひげを引いて陽線で終わり、早くも底打ちの兆しを感じさせていたが、その日から3つ陽線を出して切り返してきた。陽線3つは酒田五法の「赤三兵」で底値圏で示現すると底入れのシグナルとされる。25日移動平均線が頭を抑える格好で小さな三角持合を形成してきたが、ギリシャ選挙で上に放れた。25日線を抜くとともに、5日移動平均と25日移動平均はゴールデン・クロスを達成。一目均衡表でも転換線が基準線を下から上に抜けてきた。この「一目均衡表の転換線と基準線のゴールデン・クロス」は、日経平均だけでなく、NYダウ平均も、ドル円、ユーロ円、みな同じ状況である。目先、底入れ〜反発局面入りと見てよいだろう。当面の上値目途は200日移動平均の8,945円程度か。但し、この先、一目均衡表の分厚い雲が垂れ下がってくる。それを抜くには相当のエネルギーが必要となる。





「他力本願」かもしれないが、ここは、やはり米国株頼みにならざるを得ないだろう。NYダウ平均は5月初めの高値からの下げ幅に対する半値戻しを達成している。これまでも「半値戻しは全値戻し」との格言通りになってきた。ダウ平均のケースでは一目均衡表の雲が薄く(つまりそれだけ上値が重くないことの証)、しかも目先は「雲のねじれ」で一段と上値抵抗が軽いところだ。今晩のFOMCとその反応次第だが、一気に雲の上に浮上することも考えられる。そうなれば、市場の「リスクオフ」ムードは一段と後退するだろう。



流動性相場の再来

年初からの上昇相場を思い出して欲しい。なぜ相場が上げたのか?日銀が物価上昇の目途を1%と掲げたことなどからデフレ脱却期待が高まったことなど、材料はいろいろあった。しかし、突き詰めれば世界的な金融緩和への期待、すなわち流動性相場だったということではないか。また同じことの繰り返しになるだろう。危機が強まる。流動性が供給される。そのイタチごっこだ。その先にあるのは何か。

欧州債務危機について、筆者が繰り返しのべているのは、一朝一夕の解決はない、ということである。それだけ深刻な問題だということである。この問題は、欧州だけの問題ではない。米国も、わが国も、先進国の大半が深刻な財政の問題を抱えている。簡単に言えば、借金を抱えて困っている。悪魔的な、いや、だからこそ魅力的、誘惑的な解決方法はインフレである。インフレで借金を帳消しとまではいかなかくても(そんなことをしたら大変なことになる)、軽減を図るという誘惑はどこの政府にもある。

欧州債務危機をスケープゴートにしたインフレへの種まき。それが世界的な流動性供給の – 意図したものか、せざるものかは別として – 持つ意味である。一朝一夕に片付かない問題と述べた。これからも何度も市場に攻撃されるだろう。その度に危機感が煽られ、そしてやはり最後は流動性が供給されることになる。

ちなみに東証33業種で年初来騰落率のトップは不動産である。昨年末から約22%のリターンでTOPIXの2.5%とは比べものにならない。その背景について詳しい分析はまだできていないが、来るべき将来のインフレの臭いを嗅ぎ取っているのかもしれない。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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