プラスチックごみ問題で千載一遇のチャンスを得た意外な日本企業海洋プラスチック問題の解決で、日本勢は世界を牽引できるか Photo:Milos Bicanski/gettyimages

 「完全にフェーズが変わった」(化学業界幹部)。ここ1年ほど、複数の業界をまたがって急激に押し寄せてきた、とある世界的ウェーブがある。アンチ・プラスチックの波だ。

 プラスチックは人間の生活には欠かせない必需品だが、ごみ問題が重くのしかかっているのは否定できない事実だ。

 一つは、ごみの受け入れ先の問題である。2017年末、中国は廃プラスチック(使用後に廃棄されたプラスチック製品や製造工程で出たプラスチックのカスなど)の洗浄水の垂れ流しが国内で問題視されたことを背景に、その輸入を禁止した。あまり知られていないが、中国は廃プラスチックの一大輸入国だっただけに打撃は大きく、日本でも動揺が広がった。

 さらに、環境破壊が無視できなくなりつつある。死んでしまったウミガメの体内からプラスチックが検出されるなど、海洋プラスチックごみの具体的な“被害者”が明るみにされてきているのだ。

 欧州など、海外ではすでに使い捨てプラスチックやレジ袋の規制が強化され始めているが、こうなると「それだけでは生ぬるい」とばかりに環境団体が黙っていない。いまや「(ペットボトルを使用している)大手飲料メーカーなどは、かなりの突き上げを食らっている」(化学メーカー幹部)状態だ。

 むろん、プラスチック“創出”企業である化学メーカーも無傷ではいられない。ある化学メーカー首脳は、「自然界への排出削減など、何らかの対策費をコストに計上しておけなければならない局面にきている」と深刻な面持ちで語る。