2018年に「日立工機」から社名変更した「工機ホールディングス(HD)」は設立70年を超える大手電動工具メーカー。17年に米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下のHKホールディングスの完全子会社となり、日立グループを離脱した。同年に東証1部上場を廃止となり、電動工具のメインブランド名を「HiKOKI(ハイコーキ)」に一新。今年4月に就任した森澤篤社長が変化の様と業界首位を目指す戦略を語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 松野友美)

森澤篤社長もりさわ・あつし/1964年 5月23日生まれ。54歳。88年3月京都大学工学部建築学科卒業。同4月リクルート入社。ボストンコンサルティンググループ、アリックスパートナーズを経て2010年マースジャパンリミテッド社長、18年4月マースグローバルペットニュートリションチーフカスタマーオフィサー、19年2月工機HD入社。顧問を経て4月から現職。 Photo by Tomomi Matsuno

――2017年に日立グループを離脱してから、どんな変化が起きていますか。

 離脱するまでは、大グループだからこそ、各社間での調整が必要だったと聞いています。製品ごとにグループのどこの会社が製造するか、どの特約店を使って販売するのかなど、細かなルールがあり、ときに「なぜ?」という縛りがあったようです。グループを離れ、KKRの傘下に入った今は、自社の営業担当者が直接、販売店に通う比率が高まっています。

 大きな看板が離れたことで、自分たちで何がベストなのかを考えられるようになりました。ある意味大変ですが、ビジネスを進めていく実感がある。新しいブランドを知ってもらう苦労はあったとは思いますが、幸い、プロユーザーの間では「ハイコーキ」ブランドが浸透している。これだけの大きな変更をスムーズにできたことは、なかなかないことだと評価しています。営業担当が販売店への説明を丹念に行ってきた成果だと思います。