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森信茂樹の目覚めよ!納税者

社会保障・税一体改革の修正合意は一歩前進
次は司令塔を設置し経済活性化の道を拓け

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第30回】 2012年6月25日
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 今回の消費税引き上げを含む社会保障・税一体改革に関する与野党協議が、なんとか期限ぎりぎりまでに合意できたことは、「決められない政治」からの脱却としてきちんと評価したい。

 もっとも、今後の議論の進め方には、多くの不透明感が残る。そこで、今後どのような課題があり、どう進めていくべきか、考え方を述べてみたい。

二つの点で
修正合意は評価できる

 私が今回の協議の結果で、評価すべきだと考えるのは、以下の2つの点である。

 第1に、社会保障制度改革国民会議の創設とそこでの議論である。民主党政権下の社会保障議論は、ばらまき志向が強く、社会保障の効率化には全くと言ってよいほど手がついていなかった。それが今回、自民党が加わる国民会議の場であらためて協議するということになった。

 自民党は今後の党の基本方針として自助努力を掲げており、その立場からは、より一層の社会保障の効率化を主張、議論することになる(べきだ)。

 わが国の社会保障を持続的なものにするには、長寿に伴う年金支給開始年齢の引き上げや、デフレ経済下での年金のマクロ経済スライドの発動など、民主党政権が先送りしてきた社会保障の効率化が必要である。

 もっとも、選挙を目前に、どこまで効率化に向けた具体的な議論が進むかは疑問だが、あらためて社会保障制度の論点が整理されることは重要なことだ。

 いずれにしても、国民会議という超党派の議論の場を、あらたな決定システムとして今後育てていくことが重要ではないか。社会保障制度を巡る理念の違いは、今後の政界再編にもつながりかねない。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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