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6月22日 18時0分
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日本株式市場展望(2012年6月22日) - 広木隆「ストラテジーレポート」

日本株の地合い改善

昨日の米国株式市場は大幅安となった。ダウ平均は前日比250ドル安、下げ幅は今年2番目の大きさだった。中国の6月の購買担当者景気指数(PMI)が前月比で低下したことに続いて、ユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)も44.8と前月からさらに低下。米国では6月のフィラデルフィア連銀景気指数が0程度を見込んでいた市場予想に反してマイナス16.6と大幅に悪化するなど世界の景況感を示す経済指標が悪化し、世界経済の減速懸念が相場の重石となった。景況感の悪化に加えて、このところ持ち直しの兆しが見えていた住宅指標も悪化した。全米不動産協会(NAR)が発表した5月の中古住宅販売件数は、年率換算で455万戸となり、前月比マイナス1.5%と市場予測も下回る2カ月ぶりの減少となった。

こうしたファンダメンタルズの悪化が嫌気されていたところにさらに悪材料が重った。ゴールドマン・サックスが米株式を売り推奨したことに加え、格付け会社ムーディーズが主要金融機関の格下げを検討していると伝わったことも市場心理を冷やした。ダウ平均は取引開始からほぼ一本調子に右肩下がりで下げ幅を広げ、この日の安値圏で引けた。

ここまではいい。(株の大幅安は良くないけど、いい。)いいというのは、分かりやすいからだ。経済指標が悪化、金融機関の格下げリスク、大手証券からの株の売り推奨…。それらを受けて株が下がる。当たり前のことだ。分からないのは為替のマーケットだ。ニューヨーク外国為替市場ではドルが買われ、対円では一時80円34銭と、5月中旬以来ほぼ1カ月ぶりの円安水準を付けた。世界経済の減速→リスクオフ→米国債が買われ米国金利低下→円高ドル安というのがこれまでの流れだったではないか。こうした局面では「リスク回避の円高」というのが定番だったが、今回は「リスク回避のドル買い」と一部で説明されている。QE3期待の剥落でドルが買い戻された、との解説にも首をひねる。そもそもそれほどQE3に対する期待は大きかったのだろうか。もしQE3観測で事前に円高ドル安が進んでいれば、その巻き戻しも肯けるが、そうではなく、しかも再び景気減速感が強まったのならこの局面でこそQE3期待再浮上→ドル安というのが自然だろう。

米国がQE3を見送った一方、次回7月の日銀金融政策決定会合では追加緩和が期待されている。次に来る金融緩和の順番は日本のほうが早いから円安ドル高、という説もあるが、何もそれは昨日のニューヨーク市場でそう決まったわけではない。為替が振れた理由など探してみても仕方がない。ここは「弾みがついていたから」ということにしておこう。前回のレポートで、日経平均は「25日線を抜くとともに、5日移動平均と25日移動平均はゴールデン・クロスを達成。一目均衡表でも転換線が基準線を下から上に抜けてきた。この「一目均衡表の転換線と基準線のゴールデン・クロス」は、日経平均だけでなく、NYダウ平均も、ドル円、ユーロ円、みな同じ状況である。目先、底入れ〜反発局面入りと見てよいだろう。」と述べた。ドル円のチャートを見てみよう。

月初の雇用統計下ぶれで200日移動平均を突き抜けたもののその後は200日線をサポートとして切り返してきた。上で述べた通り、25日線を抜くとともに、5日移動平均と25日移動平均はゴールデン・クロスを達成だ。この勢いがついていたところ、6月中のドル円の高値はすべて80円手前。それを抜けたところで一段と弾みがついて一気に80円の大台回復となった。



世界の景況感悪化でダウ平均が250ドル安。こうなっては日本株もたまったものではない。日経平均は売りが先行、90円安と大きく下げて始まった。しかし、売り一巡後は下げ渋る。10時半過ぎに大きく下げ幅を縮めると取引時間中の高値圏で前場の取引を終えた。韓国が2%を超す急落となるなど、台湾、香港、上海などアジア株市場が軒並み総崩れとなるのを横目に見ながら、午後に入っても底堅い推移が続いている。

薬品、通信、建設などの内需の一角がしっかり。ソフトバンクが連日の年初来高値更新となり、提携話でソニー、オリンパス、パナソニックも高い。相場に逆行して3日続落していたファナックと三菱重工や、過去2日で8%近く下げたシャープなどが押し目買いで反発している。海外要因に不透明感があるなら、それとは関係ないところで何か物色しようという意欲が出てきた。

外国人の売りが峠を越えたのも大きい。昨日、東京証券取引所が発表した6月第2週(11〜15日)の投資部門別株式売買動向(東京・大阪・名古屋3市場、1、2部と新興企業向け市場合計)によると、海外投資家(外国人)は2週ぶりに買い越した。買越額は450億円と4月第2週(1428億円)ぶりの水準だった。朝方の市場筋推計におる外資系9社の寄り付き前注文動向は、売り1020万株、買い1170万株で差し引き150万株の買い越しだった。

日本株を支えているのは円安だろう。前回のレポートでは、「他力本願かもしれないが、ここは、やはり米国株頼みにならざるを得ないだろう」と述べたが、それに為替を加えたい。上で底堅いと書いたが、底堅いどころかレポート執筆中にどんどん下げ幅を縮小し、日経平均はプラスに転じる勢いだ(13時過ぎ)。ダウ平均が250ドル下げて帰ってきて、この強さ。いかに為替が日本株にとって大きな材料か改めて認識させられる。



ドル円相場はいち早く一目均衡表の雲の中に入ってきた。今後の動きに注目したい。



米国株も戻り局面の小休止と見る。S&P500を例に挙げたが、5月初めから6月初めまでの下げ幅に対する半値戻しの水準を挟んでフィボナッチの61.8%と38.2%の間をやっている相場だ。昨日のS&P500の下げはそのレンジ内の陰線にとどまる。

昨日のフィラデルフィア連銀景気指数は大幅に悪化したが、もともと信頼性がそれほど高くない指標だ。これをもって悲観するのはまだ早い。こちらのレポートを参照して欲しい。期待がつなげる分析である。



ここまで書いたところで、ついに日経平均は先ほど前日比プラス圏に一時浮上した。世界景気の減速が懸念され、ダウ平均が250ドル下げ、アジア株市場が軒並み安となるなか、日経平均は朝方の下げを取り戻してプラスに転換。これだから、相場は難しい。理外の理か、売られ過ぎた修正局面に入っているのか。日本株を支える、この円安の意味は何か。だから、相場は面白い。

(22日13時30分現在 記)


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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