寝る直前に理解のための深追いをすると、アドレナリンが出てしまい、眠れなくなるのです。ここでアドレナリンが出ると脳が興奮してバランスを失い、ときには悪い夢を見る結果にもつながります。

「さあ、寝よう」と、布団に入ったりベッドサイドに座ったりしている状態は、すでに脳がその意思をキャッチしています。それなのに、その態勢で時間がどんどん伸びていくと、脳は混乱するのです。

 せっかく「今日の記憶の再生作業」に入ろうというときに、また元に戻れと滅茶苦茶な指示を送っているようなもので、司令塔の海馬が怒ってしまうに違いありません。

勉強しすぎて
アドレナリンを出してはいけない

 寝る前1分は、すでに理解のプロセスを経た事柄をなぞるくらいにしておくのがベターです。仮に、なぞっているときに、「なぜ」「どうして」「どうやって」と思っても、あっさりあきらめて(省略して)次の日に回します。つまり、「略」の実行です。

 もっとも1分前にかぎらず、寝る前30分くらいからは理解のための知識の深追いはできるだけ避けたほうがいいでしょう。というのは、一度出てしまったアドレナリンは、そう簡単には収まらないからです。

 みなさんは、勉強したり調べものをしたりしているとき、思わず「やった!」と叫んでしまうことがありませんか。わからないことがやっとわかったとか、新しい発見をしたといった場合、誰でもうれしくて興奮してしまうはずです。

 これはポジティブな興奮なので悪いことではありませんし、脳にとっても喜ばしい瞬間ではあります。しかし、そのうれしい興奮は数分では収まらないのです。

 うれしくて友だちにメールしてしまう人もいるかもしれませんし、部屋の中をニコニコしながら歩き回る人もいます。脳だけではなく身体も動かすことになるのですから、心身を元の状態に落ち着かせるためには相応の時間がかかります。

 ですから、寝る前1分はもとより30分前くらいからは、こうした事態にならないように「小・略・短」が必要なのです。

「なぜ」「どうして」と思うような勉強や調べものは、30分前に済ませること。できたら夜ではなく、朝や昼間の落ち着ける時間に行ったほうがよいでしょう。

 寝る前30分くらいはそうした難しい部分に引っ掛からないように、軽いものにします。私のように、軽くお酒を飲みながらやるくらいの気軽さがよいかもしれません。お酒を飲むとお酒のほうに深入りして、お酒でアドレナリンが出てしまうような人にはお勧めしませんが……。