パパ活という疑似恋愛ならぬ疑似親子関係には多くの場合、互いの欲や下心しか存在しない。しかし、まるで本当の親子のような心の通い合いがあることも、まったくないわけではないようだ。(清談社 藤野ゆり)

予備校代をポンと
出してくれた「パパ」

予備校代をポンと出してくれるパパに出会ったポンと100万円出してくれたパパが「神様に見えた」というユウコ。「パパはきっと誰よりも私の合格を願ってくれてると思う」と話します(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「物心ついた頃から母と2人きりだったので、『父親』がどういうものかわからない。でもパパ活で出会う“パパ”たちは、どうしてこんな私に優しくしてくれるんだろう…というほど良い人ばかりなので、お金を貰うときはいつも胸が痛むし、申し訳なくなります」

 浪人生のユウコ(19歳・仮名)は母子家庭で父親を知らずに育った。ゆえに、パパ活の「パパ」に対しては少々、複雑な感情を抱いている。

 母親は郊外の工場勤務。給与は決して高いとはいえない額だ。家計に余裕はなく、大学の進学費用を自分で捻出しなければいけない厳しい境遇に身をおく。学費の工面が難しい母に代わり、100万円を超えるユウコの予備校代を出したのは『パパ』だった。

「実はわたし、2浪目なんです。どうしても行きたい大学があって…。去年は予備校に通うお金がなくて1年間、宅浪をしたけど受からなかった。その事情をパパに話したら、なんと次に会ったときに、『お金なくなったから、しばらく会ってあげられなくなっちゃうけど…』って言いつつ100万円を渡してくれたんです!まだ出会って3、4回目の時ですよ。神様に見えました」

 予備校代金について、母親は疑問に思わなかったのだろうか。そう尋ねると、「あんまり私に興味ないみたいで、予備校行ってることも知らないんじゃないかなあ」とそっけなく答えた。パパがいなければユウコが予備校に通い、大学進学を目指すことは絶対にムリだっただろう。