世界同時不況を受けて、2008年10-12月期は減益となったものの、マイクロソフトの事業開拓意欲は依然衰えることを知らない。中でも、音楽、ゲーム、ビデオ、モバイルコミュニケーションなどあらゆる分野を網羅する「Connected Entertainment」構想には、熱がこもる。スティーブ・バルマーCEOの片腕として、同構想を指揮するロビー・バック氏へのインタビューから、巨大企業の未来像を探った(全2回掲載)

マイクロソフトは、次の時代こうして儲ける
ロビー・バック 米マイクロソフト エンターテインメント・アンド・デバイス部門担当プレジデント

―「Connected Entertainment」とは何か。

 端的に言えば、PC、テレビ、モバイルのようなデバイスがすべてクラウドを通じてスムーズにつながり、音楽、動画、映画、ゲーム、写真などあらゆる種類のエンターテインメントにアクセスできることだ。好きな時に好きな場所でどんな機器からでも好きなコンテンツを入手できる。そんな世界を目指している。

―その世界でマイクロソフトが目指すビジネスとは何か。

 主に3つのスクリーン(PC、テレビ、モバイル)を念頭に、消費者にエンターテインメントのエクスペリエンス(得がたい体験)を提供するためのソフトウェアやサービスをつくることだ。マイクロソフトの強みは、突き詰めれば、ソフトウェアとサービスだと思っている。

 そもそも「Connected Entertainment」が目指す世界を実現するためには、電池やスクリーン技術などのハードウェアの革新もさることながら、それ以上にソフトウェアやクラウドベースのサービスが重要な役割を果たす。当社がやるべきことは、はっきりしている。

―具体的には、どのようなソフトウェアやサービスを投入していくのか。

 すでに多くのものを投入している。(家庭用ゲーム機Xboxのオンラインサービスである)「Xbox Live」はその好例だ。会員数は全世界でいまや1700万人を超えた。また、音楽配信ビジネスの「Zune(ズーン)」もあれば、(インターネット経由の双方向テレビ=IPTVのソフトである)「Media Room」や(「Windows Vista」の主力モデルなどに搭載されている動画・音楽視聴機能)「Media Center」もある。今後も前述した3つのスクリーンに介在する壁を取り払っていきたい。