涙と共感を織り交ぜながら、すべてを読み終えたとき、そこには私の思い込みとはまったく違う、MBO-Sの輪郭が現れました。

 上司と部下とが一対一で面接し、「何を目標にするのか、どこまでやるのか?」をお互いに納得するまで話し合い、そのプロセスでヤル気を高めていく。
 それがMBO-Sだと思っていましたが、そんな短絡的な場面はどこにもありません。
 繰り返し出てくるのは、人間同士の心と心の触れ合いが仕事の成果を上げるための問題意識と問題解決意欲を高めていく、という情景なのです。

 また、「組織の活性化方策としての目標管理」という視点も、私にとっては新鮮なものでした。

 どうも様子が違う。

 この本には自分の知らないMBO-Sの世界が書かれている。もっと知りたい、教えてほしい。そんな思いに駆り立てられて、矢も盾もたまらずに、著者に会いに行き、そこから押しかけ弟子の人生が始まりました。
それ以来、私はMBO-Sの虜になったのです。それも、「職場の活性化」を盛り込んだMBO-Sの愚直な実践です。

 以下に、『黒字浮上!最終指令』が訴える組織の活性化方策の2つのエッセンスを紹介します。
それは、甲子園に行くために、野球部という組織の活性化に取り組んだ『もしドラ』の物語と非常に多くの共通点を持っています。
  すでに『もしドラ』を読まれた方は、それを思い出しながら読み進まれることをお勧めします。