佳食漫遊!ニッポンの郷土料理
【最終回】 2012年6月27日 橋本裕之

にしんの山椒漬け、こづゆ――会津の山間ならではの知恵あふれる味わい

 東日本大震災から4ヵ月ほどたった1年前、宮城県の『気仙沼ホルモン』を取り上げスタートしたこの連載だが、今回はその隣県で、やはり震災の影響範囲が非常に大きかった福島県の郷土料理を取り上げたいと思う。

 ちょうど、市ヶ谷に福島県会津のアンテナショップが2012年3月にオープンしたばかりだというので、足を運んでみた。会津若松市に本社がある『エキスパートAIZU』という会社が運営しているという。

 その名も会津地方アンテナ居酒屋『会津 赤べこ』だ。潔い、ストレートな名前から、会津のよさを伝えようという思いが伝わってくる。店に入ると、巨大な冷蔵庫に会津の蔵元を中心とした日本酒がずらりと並び、いかにも日本酒を美味しく飲ませてくれそうな雰囲気だ。

棒タラ、身欠きにしん、貝柱など、
乾物をアレンジしたぜいたくなツマミ

煮干したタラを砂糖やしょう油で煮込んだ、「棒タラの甘露煮」。旨み、甘みが凝縮して、酒にもご飯にもピッタリ。

 さっそく、会津名物とメニューに書かれた3品から注文することにした。

「棒タラの甘露煮」、「にしんの山椒漬」、「こづゆ」である。3品とも待たされることなくテーブルに置かれた。

 そして、酒は初夏らしくさっぱりとしたものからということで、供されたのは『国権 てふ 純米生貯蔵酒』(南会津郡南会津町・国権酒造)である。

「棒タラの甘露煮」は、棒タラ、つまりタラの煮干しを水に戻したものを、砂糖やしょう油で煮込んだものである。昔は貴重だった砂糖を使うことからご馳走とされた料理だ。乾燥、熟成して、旨みが凝縮されたタラが、甘く煮こまれて、酒にも、ご飯にもぴったりなツマミとなる。

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橋本裕之

飲食店から蔵元訪問など、豊富な食べ飲み歩きの経験から、出版やWEBなどで、食と酒をテーマにした編集やライティングに関わる。過去の執筆に『dancyu』(プレジデント社)、『本格焼酎ぐびなび』(誠Style)など。SSI認定焼酎アドバイザー。ティーコンシェルジュ2級。


佳食漫遊!ニッポンの郷土料理

土地々々の風土に磨かれ、伝え継がれてきた日本の郷土料理を、料理の歴史や地域の慣習などを交えて紹介。その素晴らしさ、味わい深さを再確認していただければ幸いです。

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