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6月26日 15時9分
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マネックス証券

第18回 リスクは、定義できればリスクではない - 広木隆の「投資の潮流」

マネックス証券が四半期ごとに実施している「MONEXグローバル投資家サーベイ」というものがある。マネックスグループの拠点がある日本、香港、米国の個人投資家にいくつかの質問をして、その回答をまとめるものだが、今回のサーベイでは興味深い結果が見られた。「投資判断にあたり最も関心のあるトピックは何か」との問いに、各地域の投資家とも「欧州債務問題」を1位に挙げた。さもありなん、という結果で特段驚くに当たらないが注目すべきはその回答比率だ。

全回答の中で「欧州債務問題」との答えが占めた比率は、日本と香港の投資家による回答については半数を越えたのに対して、米国の投資家の回答率はその半分の30%程度で、次点の「米経済」と大差がなかった。日本と香港の投資家にとっては「欧州債務問題」が群を抜いた大きなリスクとして意識されているのに対して、米国の投資家にとってはそこまで大きく関心を寄せる対象ではなく自国経済の状況と同程度の注目材料ということだ。

これ自体はいい。しかし、この結果を踏まえて、次の質問に対する回答結果を見ると首を捻ることになる。その次の質問とは「欧州債務問題は2008年のような深刻な金融危機に発展すると思うか?」というもの。これに「はい」と回答した比率は、米国の投資家が74%と断トツに高かったからである。「深刻な危機に発展する」と考えているのに、関心はあまり高くない。一見、矛盾するように思えたが、合点がいった。

こういうことなのだろう。米国の投資家にとって欧州債務問題は既に答えが出ている問題なのだ。「2008年のような深刻な金融危機に発展する」というのが彼らの見方だ。これが当たるか外れるかは問題ではない。そういう見解に至ってしまえばそれに則った相場観を作り、それを前提とした投資戦略を立てるだけだ。「リスクは、定義できればリスクではない」という言葉があるが、それが意味するところは「不確実なもの」こそがリスクであるということだ。欧州債務問題の帰趨が(自分たちのなかで)決まってしまえば、それは(少なくとも彼らにとって)もはやリスクではない。従って、関心度合いも高くないのだ。

これは「噂で買って事実で売る」ということと同じ感覚である。事実が明らかになってしまえば相場は一旦終わり。「不確実なもの」こそがリスクならば、「確実なもの」になったらもうリスクではない。すなわち、その時点ではリスクを取る代償として得られるリスクプレミアムは消失している。よって、もはやそのポジションを持つ意味はないのである。最近の米国のマーケットを見ていると、この「噂で買って事実で売る」という相場格言が活きている、と思う。スペインの金融支援が決まった時。ギリシャの再選挙で緊縮推進派の旧与党が勝利した時。いずれもポジティブなニュースだが相場は下げた。それまでに上がっていたから利益確定売りが出たのである。先週も、格付け会社ムーディーズによる金融機関の格下げ観測から大きな下げとなったが、実際に格下げが発表されたら金融株に買い戻しが入って相場が反発するということがあった。すべて「噂で買って(売って)事実で売る(買い戻す)」の動きである。こうしたところが相場の機微・醍醐味であり面白さだと思う。




(チーフ・ストラテジスト 広木隆)

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(マネックス証券)


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