ときには必要な否定的ストローク

 ただし、ときには「否定的ストローク」が必要なこともあります。

  私は相手に面と向かって、否定的ストロークを発信するのが苦手です。
 「人間関係が壊れるのでは?」という不安があるからです。
  事実、否定的ストロークをもらった相手は、瞬間的にはムカッとした顔つきになります。

 しかし、それでも、職場のリーダーは、必要を感じたならば、否定的ストロークをきちんと打ち込むことが必要です。

 たとえば、メンバーが手抜き仕事をしたり、同じ失敗を何回も繰り返すときなどは、「しかる・注意する」というストロークを発信するのがリーダーの役割であり、それがメンバーに対する真摯さというものではないでしょうか。

  たとえ否定的なストロークであったとしても、そこに関心と愛情が込められていれば、相手は比較的素直に受け止めてくれるもの。
  それが私の経験ですが、否定的ストロークの打ち込み過ぎは禁物です。真剣にしかれば、少ない量でも十分効き目があるからです。

 それに対して、肯定的ストロークはいくらあってもたりない。そう考えて、9対1くらいの比率で、肯定的ストロークを多めにすることがリーダーには望まれます。

ミドルを応援したい!

  さて、連載は今日で終わりです。
  目標管理のエッセンスを理解していただこうと、駆け足で進んできました。

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 課長やチームリーダーといった「ミドル」を応援したい、ミドルの元気に役立つようなマネジメントのヒントを提供したい。そういう思いを込めて、『個人、チーム、組織を伸ばす 目標管理の教科書』を執筆しました。

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