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経営トップも「民」から「官」へ
“脱小泉”で混迷深める日本郵政

週刊ダイヤモンド編集部
2009年10月26日
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 「最後のバンカー」が退場し、「最後の大物官僚OB」が登場──。

 民主党政権になって小泉郵政改革の巻き戻しが始まるなか、詰め腹を切らされた西川善文・日本郵政社長の後任に、元大蔵省(現財務省)事務次官の斎藤次郎氏(東京金融取引所社長)の就任が内定した。

 斎藤氏といえば、あまたいる事務次官経験者のなかでも「大物中の大物」として知られている。主計畑の主流を歩み続け、1993年に次官就任。政治家相手でもブレないその姿勢を慕う大蔵官僚は多く、省内に「斎藤組」といわれる人脈が形成されていた。

 「旧大蔵省内には『斎藤組にあらずんば人にあらず』という空気があった」とある財務省OBは振り返る。官僚バッシングが激しさを増す昨今、斎藤氏以上の力を持つ官僚が現れるとは思えない。

 西川氏の辞任を含め一連のトップ人事をやってのけたとされるのが、亀井静香郵政改革担当相だ。亀井氏は会見で人選の理由について「長いあいだの友人だった」としているが、決め手になったのは、小沢一郎・民主党幹事長と斎藤氏との親密な関係であったことは想像に難くない。

 斎藤氏は、細川政権時代に小沢氏と組んで、頓挫した「国民福祉税構想」をぶち上げるなど、小沢人脈に連なる。これが自民党の怒りを買って、政権に返り咲くとにらまれてしまった。95年に次官を退官した後の処遇は決して恵まれたものではなく、大物次官の割には東京金融先物取引所理事長(当時)という“軽量ポスト”に甘んじていた。

 その後もたびたび“復権”を取り沙汰されたが、自民党政権下ではかなうべくもない。だが、民主党が政権を奪取したことで、「小沢さんが、当時の恩に報いるのではないか」という観測が浮上。直近では、官僚機構のトップである内閣官房副長官に就任するのではと、ささやかれたこともある。

 その一方で、「官房副長官は霞が関の代弁者だが、現役の次官と年が離れ過ぎている」(財務省幹部)、「役所を辞めて時間がたち過ぎている」(財務省OB)など否定的な声も根強く、表舞台への復帰はないという見方もあった。

 日本郵政についても、当初は民間人の起用を模索していた模様だ。ところが、西川氏の処遇に経済界が怖じ気(おじけ)づいたこともあって引き受け手がいなくなり、斎藤氏が最有力になったと見られる。

 ただ、斎藤氏がいかに大物といえども、前途は多難だ。日本郵政では、郵政民営化見直しの舵取りを担うが、時計の針を巻き戻す作業となるだけに、大きな混乱は避けられない。これに伴って、組織内部だけでなく、ライバル関係にある民間企業からの不満も噴出するのは確実だ。

 まずはどんな組織にするのか、それが国民にとってどうプラスになるのか、ここをきちんと説明しない限り、どんな大物を迎えても日本郵政の混迷は続くだろう。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 田中 博)

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