カラフルでカジュアルなバッグブランド
「女子大好きアイテム」の陰に商社あり?

米国のバッグブランド「レスポートサック」を買収<br />女性マーケットで“カワイイ”を追求する伊藤忠商事東京・表参道にある「レスポートサック」のフラッグシップストア。カラフルでカジュアルなデザインに魅了され、ここを訪れる女性客は多い。新しく発表される柄は、年間で100種類近くに上る。

 カラフルでカジュアル――。そんな表現がぴったりマッチする世界的に有名なバッグのブランドが、米国生まれの「レスポートサック」(LeSportsac)だ。

 日本でも人気のレスポートサックは、おしゃれに目がないあらゆる世代の女性たちから「レスポ」の愛称で親しまれている。取り扱い商品は、数千円のキーポーチから数万円のボストンバッグまで多岐にわたる。東京・表参道にあるフラッグシップストアでは、色とりどりのバッグを手に取り「カワイイ!」と声を上げる女性客の姿が見られる。

 彼女たちの言葉通り、レスポが女性客を魅了している理由は、圧倒的に豊富な柄や、機能を重視しつつもおしゃれ心を忘れないデザイン。新しく発表される柄は、年間で100種類近くに上るという。

 1974年にニューヨークで産声を上げたこのブランドに、実は日本の総合商社が深く関わっていることをご存知だろうか。「カワイイ」と体育会系の商社とはイメージが重なりにくいが、レスポの世界展開を一手に担っているのは、かの伊藤忠商事なのである。

 世間一般には、「モノやサービスを仲介する仕事」と思われがちな商社だが、足もとでは、従来の価値観に囚われない事業展開を行なっている。有名なのは、世界中で需要が急増している資源・エネルギー分野のビジネスだろう。採掘から、製品化、流通・販売まで、全てのプロセスに投資を行なう各社は、資源高の恩恵を享受して、軒並み収益増に沸いている。

 彼らが参入しているビジネスは、こうした重厚長大分野に止まらない。時として、衣食住に関わるコモデティ分野まで深く入り込み、ビジネスの裾野を着々と広げている。そんななか、アパレル分野の成功事例として関係者の間で注目されているのが、伝統的に繊維部門が強い伊藤忠の「レスポートサック」なのだ。