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楠木建の週刊10倍ツイート

勉強の秘訣について(その1)
知識の量と質

楠木 建 [一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授]
【第10回】 2012年7月26日
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 人間が何かに継続的に取り組めるとしたら、その理由には2つしかない。「意味がある」と「面白い」、このどちらか(もしくは両方)だ。

 「意味がある」というのは、そのことが何かの目的のために有効な手段だと思えるということ。その行動に目的達成の意味があると思えるとき、人は努力を投入する。「面白い」というのは、そのこと自体にその人にとっての価値があるということ。目的と手段がそもそも分かれていない、といってもよい。

 僕は習慣としてジムに通っている。前にも話したことだが、D攻撃に対する攻撃的防御としてのDKK作戦(詳細はこちら。くだらない話なので注意)。これは「意味がある」からやる、という例だ。目的(DKK増量によるDの隠ぺい)と手段(筋トレ)が明確につながっていれば、やる気になる。

 筋トレの後、僕は必ずサウナに12分間入る。これは後者の「面白い」に当たる。ま、「面白い」というと語感がちょっと違うのだが、ようするにそれ自体が「気持ちイイ」ので、ジムに行けば欠かさずに続けている。

 アツい中でじっとしているのはイヤなのだが、健康のためにサウナに入るようにしているという人もいる。同じ「サウナに入る」という活動にしても、これは「意味がある」のほうだ。理由が異なる。

「意味がある」から勉強する?

 さて、勉強である(ここで「勉強」というのは「知識をインプットする活動」の総称を意味していると思ってください)。勉強しよう、勉強しなきゃと常日頃感じている人は多い。ほとんどの場合、その動機は「意味がある」の方ではないかと思う。

 海外に赴任する、英語を使わなければ仕事にならない、だから英語の勉強をしよう、英語を勉強しなくちゃ、というケース。ここでは勉強の目的が所与である。強制されている、といってもよい。目的を達成するための手段もはっきりしている。

 しかし、このようにあからさまに勉強に「意味がある」ケースはむしろ稀だ。英語や試験のための勉強に限られる。「この分野の知識を深めたいな」というような漠然とした目的で勉強しようとするのが普通だろう。

 ところが、これがほとんど続かない。漠然とは「意味がある」と思って本や雑誌やネットの記事を読んではみる。しかし、勉強したところでどうなるのか、目的と手段の連鎖を実感できない。だからすぐに挫折する。

 どうすればよいか。話は簡単だ。勉強それ自体を面白くしてしまえばよい。「ちょっと待て。そうは言っても、そもそも面白くないのが勉強なんだよ」という声が聞こえる。しかし、そういう人は、知識の「量」と「質」を混同している。

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楠木 建 [一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授]

1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。2010年5月に発行した『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)は、本格経営書として異例のベストセラーとなり、「ビジネス書大賞2011」の大賞を受賞した。ツイッターアカウントは@kenkusunoki


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