指示下手な上司と指示待ち部下、互いのイライラに潜む「甘え」の心理「細かく指示しないと部下が動かなくて困っている」など、部下に対する上司の不満はよく耳にすることだろう。最近は部下の顔を見るだけでイライラしてくるという上司も少なくないようだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「細かく指示しないと部下が動かなくて困っている」「なぜこちらの意向を汲み取ってくれないんだ!?」といったように、部下に対する上司の不満はよく耳にすることだろう。特に職場の雰囲気が悪いケースでは、実は部下も上司に対して不満があり、上司と部下のちょっとしたすれ違いで人間関係がこじれていることが少なくない。では職場の雰囲気を改善するには、どうすればいいのだろうか。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

いちいち指示しないといけない
部下にいら立つ上司

「いちいち事細かく指示をしないとダメなんですよ」

 気の利かない部下や察しの悪い部下を評する上司のこんなセリフを、耳にすることはないだろうか。指摘したプレゼン資料の不備を直していないと注意すると、部下は「そんなこと言われてません」と反論する。

「そんな調子だから、ほんと困ってます。そこまで言わないとなぜわからないのか、不思議で仕方がない。それぐらいのことは想像できるじゃないですか?」などといら立ちを隠せない。

 最近はそうした部下の顔を見るだけでイライラしてくるという上司も少なくないようだ。

 管理職のAさんは、察しの悪いBさんに関して次のように語ってくれた。

「今週の金曜日の午後3時から戦略会議をするから」