シグマクシスCEO/RHJインターナショナル・ジャパン会長倉重英樹
撮影:住友一俊

 僕が日本IBMに入社した1996年頃は、コンピュータって、とても新しい産業だった。ところが、ここ20年間は価格競争に明け暮れて、あまり知的なビジネスモデルじゃなくなっちゃいましたよね。

 今年5月、シグマクシス設立に踏み切ったのは、言ってみれば、そんなIBM的商法のアンチテーゼでもあります。ICT(情報通信技術)を活用して、単なるコストメリットを超える付加価値を提供したい。

 システム開発に当たっては、お客さんからの「丸投げ」はお断り。プロジェクトチームにはお客さんにも参加していただくし、最終的な意思決定もしていただく。

 お客さんとのコラボレーション(協働作業)を通じて、目標・成果を分かち合う、他社にはない「成功報酬制度」を前面に打ち出していくつもりです。

 じつは、日本IBMを辞めてプライスウォーターハウスコンサルタント(PwC)に移籍したときも、同じことを考えていたんです。それが、神様の悪戯(いたずら)というのか、PwCが古巣のIBMに買収されちゃってね(苦笑)。

 PwCでは、実質6年間で170人の所帯を1700人にまで増やしました。シグマクシスは一から始めて5年間で2000人を目指します。そのくらいの規模にならないと、この世界で存在感は示せない。

 ファンドビジネス(米リップルウッド傘下のRHJインターナショナル・ジャパン会長)と「二足のわらじ」で取り組む覚悟です。

(聞き手:『週刊ダイヤモンド』副編集長 藤井一)