自由学園というユニークな教育機関で学生時代を過ごし、広告代理店に入社後も、出世より好きなことをして暮らしたいと願うアウトローでした。出世に興味がないというのは、当時の常識では考えられなかったため変人扱いでしたが、当の本人はどこ吹く風。

 海外勤務時代は、テニスに釣りに空手にと、行く先々で趣味を満喫して浮かれていたものです。自他ともに認める、かなりの異端児でした。

 また、転職で大失敗したこともあります。実は、広告代理店退社後の最初の転職先は、知人が経営するマーケティング調査会社でした。しかし、数字とにらめっこする調査の仕事がどうにも性に合わず、ノイローゼ気味になってしまいました。情けないことですが、わずか1年で辞めてしまったのです。

 そんな私でも、ひょんなことから未知の業界の社長業に就き、必死になって考え続けることで、いくたびもの苦境を乗り越えることができました。これだけは取り柄といえそうなのは、ピンチに陥ると負けず嫌いの血がドドッと湧いてくることくらいです。

 先に述べたように、閉塞感が蔓延している今の時代は、どうやったらモノが売れるのか、多くの企業が手詰まりという状態です。たとえ伝統ある有名ブランドであっても、派手なプロモーションを展開するだけでは、売上が上がらない時代に突入しています。

  ですが私は、こう思うのです。

  景気の悪い現在は、逆にいい機会なんじゃないか。
  切迫した状況に否応なく追い込まれているけれど、だからこそ従来の枠に囚われず、思い切ったことにトライする意義がある。
  モノが売れないのを、景気のせいだと思ってはいけない。厳しい条件の中でも、必ずソリューションを見つけることができるはずだ、と。

高倉流:ブランド再生法

 偉そうに断言しましたが、今の世の中と同じような事態に、20年前から立ち向かってきた経験があるから、そうエールを送りたいのです。バブルがはじけた時も、リーマンショックの時も、まわりのブランドは悲鳴を上げていましたが、私は以前から困難な状況に対峙し続けてきたおかげか、幸いにして切り抜けることができました。

 現在の若い皆さんにもあきらめずに取り組んでほしい。けれども、ビジネスですから絶対に失敗はして欲しくありません。「精一杯やってみたけどダメだった」というのは、スポーツの試合ではしょうがなくても、会社では許されませんから。とはいうものの、「業績を立て直す方法」を考え出すのは、やさしいことではありません。本連載では、そのための3つの思考法を、ご紹介していこうと思います。

  • (1)ライバルは見ない
  • (2)現場は見ない
  • (3)ロジカルに考えない

 一般的なマーケティング手法から、まったく逆行しているじゃないか!
そう思われるのも当然ですが、これが私自身のピンチを幾度となく救ってきた、起死回生の策なのです。

 まず、(1)ライバルを見ないことで、過度な情報をシャットアウトする。次に、(2)現場は見ないで目先より本質を考える。そして、過去の常識や業界の慣習を疑い、頭の中をいったんゼロにしたうえで、(3)手持ちの材料の中で、論理よりひらめきを大切にして考える、というものです。

 私が携わってきた仕事を実例に挙げつつ、できるだけ多くの方に役立つノウ
ハウをご紹介できればと思っています。
  皆さんが現在対峙している「過酷な不況」という対戦相手との試合に際して、バントやヒットではなく、逆転ホームランを飛ばして勝っていただくためのヒントになれば幸いです。


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