大事なプレゼンや会議、面接を前にすると、異常なまでにプレッシャーやストレスを感じることがある。ふだんは当たり前にできていたことにつまずき、大失敗に終わってしまうことも多い。この現象は、脳の前頭前野が暴走して、認知機能が過度に働くことによって起きる。本記事では、それを防いでプレッシャーを跳ね除ける方法を示す。


 私の高校時代は、サッカー一色だった。カリフォルニア州代表チームのゴールキーパーで(全国大会はオリンピック育成プログラムの一部でもあった)、責任は重大だった。私がシュートを止められるかどうかで、試合の行方が決まる可能性があったのだ。

 自分のスキルに自信はあったけれど、ある試合で米国代表チームの監督の姿を見つけたときは、ひどく動揺した。監督が私を見ているのを見て、体がすっかり固まってしまった。そして決勝点を許してしまった。

 私は息ができなかった。

 そんな経験があるのは私だけではない。数え切れないほどの才能ある人たちが、プレッシャーにさらされると、採用面接をしくじり、プレゼンで大失敗をし、決勝ゴールを外す(あるいはセーブしそこねる)。

 そんなときは決まって、「頭で考えすぎなんだよ」と言う人がいるものだ。それは本当なのかもしれないが、具体的には何を意味するのか。

 ヒトの前頭前野(額の内側にある部分)は、認知能力の中核をなし、私たちが目の前のタスクに集中することを可能にしてくれる。だが意外にも、日常的なタスクをこなすとき、私たちは作業の詳細にまで注意を払っていない。これは前頭前野が、いわば自動操縦モードになっているからだ。

 ところが激しく緊張する場面、たとえば決勝トーナメントの試合や大事なプレゼン、あるいは採用面接になると、前頭前野が暴走してしまうことがある。最適な結果を出すために、目の前の作業の一つひとつに意識を集中するようになり、通常ならスムーズかつ自然にやれていたことが、ぎくしゃくして歯車がかみ合わなくなっていく。

 プレッシャーがかかると、私たちはその状況について、結果について、そして人が自分をどう評価するかについて恐怖心に襲われ、目の前のタスクに過度に認知能力を向けるようになる。こうして通常なら自然にできること(私の場合ゴールを守ること)について、考えすぎるようになる。

 では、前頭前野が暴走しそうになったら、どうすればいいのか。