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山崎元のマネー経済の歩き方

投資家は欧州危機とどう付き合うべきか

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第233回】 2012年7月2日
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 ギリシャの再選挙で、緊縮策を受容してユーロに残ることを訴える与党が勝利した。連立組閣が成立するかという問題は残るが、即座にユーロ離脱が決まって、欧州が混乱に陥る可能性は回避された。これをよかったと評価する向きもある。しかし、問題が先送りされただけだと考えることもできる。

 ギリシャ政府の資金繰りは相変わらず苦しいし、経済も改善の兆しがない。通貨切り下げができないとギリシャ経済の再建は難しかろう。今回、ギリシャがEUの支援条件を受け入れても、支援をただ食いするだけかもしれない。

 その後、スペインの国債利回りは上昇し、危険のめどとされる7%を上回った。スペインの銀行が特に不動産関連の不良債権を大量に抱えていることと、スペイン政府に同国の銀行を支え切るだけの財政的余裕がないことが見透かされている。

 仮に、筆者がスペイン人なら、スペインの銀行から預金を引き出して、ドイツなど安全な国の銀行に預け替えたいと思うだろう。通貨は同じユーロで為替リスクはないし、移動も自由だ。

 日本は、スペインのような状況にないが、スペインの推移は参考になる。それは、危機は一気に進むものではないということだ。スペインの国債利回りもいきなり7%になったわけではない。そして、まだ預金の引き出しも可能だ。日本の場合、長期金利(10年物国債利回り)が3%、対ドルの為替レートが120円を超えて円安になるあたりが考えどころだろう。デフレで不況のまま、そのような事態になることは考えにくい。それまでは、国家破綻や預金封鎖に大がかりに備えるのは、別のリスクがあり、コストも大き過ぎる。

 さて、欧州には、スペインに加えてイタリアの問題もある。日本の投資家は、どこまで心配して、どう対応したらいいのか。

 「幸い」とは言い難いが、日本にはバブルとその崩壊の経験があり、記憶に新しい。今後役に立つ(はずの)原則を確認しよう。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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