NEC新野隆社長新野社長は空港などに顔認証サービスなどを提供するセーフティ事業の海外売上高で「(中計目標の)2000億円が射程圏内に入った」と自信を見せた Photo by Hirobumi Senbongi

NECが3000人の人員削減を含む構造改革を終え、反転攻勢に出ようとしている。だが、リストラという手術を終えたばかりのNECが立ち向かわなければならない相手は世界最大手のIT企業だ。負ければ縮小傾向に歯止めが掛からなくなる恐れがある。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

 NECの新野隆社長は7月10日、ダイヤモンド編集部などのインタビューで、2020年度を最終年度とする中期経営計画の目標である20年度に営業利益1500億円(営業利益率5%)について「固い数字だ」と自信を見せた。慎重な新野社長にしてはかなり強気の発言だ。

 新野社長にとって現中計は社長就任1年目に既存の中計を撤回し、修正したものだ。その経緯を踏まえれば目標達成は当然ではあるのだが、実際に目標をクリアすれば3回連続で中計が未達で終わっているNECにとって「快挙」となる。

 現中計は、営業利益の改善の3分の2を人員削減などで捻出するリストラ頼みのシロモノだ。とはいえ、とにかくNECは計画通りに構造改革をやり切った。19年度は12年ぶりに中間配当を再開するなど明るい兆しも見えつつある。

 だが、深刻なのは、次期中計の対象となる21年度以降の成長戦略が見えないことだ。