転職「出戻り社員」を前向きに捉える動きが広がっています Photo:PIXTA

転職で退職した人は「裏切り者」から
大切な「人的リソース」へ

 一度、転職や独立で退職したOB、OGが再びその会社に戻ってきて働く「出戻り社員」の活用を考える企業が目立つようになりました。

 企業OB、OGは「アルムナイ」とも呼ばれます。アルムナイ(alumni)とは、英語の卒業生alumnusの複数形。これまで、退職者には「裏切り者」のイメージがつきまといがちでしたが、そうではなく人的リソースとして前向きに捉えようという動きが広がっています。

 自社OB、OGの活用をオープンかつ積極的に行っている企業の典型がコンサルティング業界です。ウェブサイト内に専用ページを作成したり、ネットワーキングイベントを開催したりと、OB、OGとのつながりを大切にしている様子がうかがえます。

 オープンな形ではありませんでしたが、私の古巣のリクルートでも、ある部門の担当役員だった方がOBに声をかけて何人も出戻り、それぞれ活躍した例が以前にもありました。

 また、出戻り社員ではありませんが、全国の地方銀行でつくる「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」では、結婚や介護、配偶者の転勤などで転居する行員を転居先の地方銀行で雇用する「地銀人材バンク」を2015年に創設し、実績を上げています。これは一つの会社ではなく、業界全体でOB、OGをシェアしようとする試みといえます。