アメリカ・ヨーロッパ・中東・インドなど世界で活躍するビジネスパーソンには、現地の人々と正しくコミュニケーションするための「宗教の知識」が必要だ。しかし、日本人ビジネスパーソンが十分な宗教の知識を持っているとは言えず、自分では知らないうちに失敗を重ねていることも多いという。本連載では、世界94カ国で学んだ元外交官・山中俊之氏による著書、『ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門』(ダイヤモンド社)の内容から、ビジネスパーソンが世界で戦うために欠かせない宗教の知識をお伝えしていく。

宗教を学ぶことが「教養がある人」になるための最短ルートである理由

なぜ、宗教がビジネスエリートの必須教養なのか?

 ビジネス。政治や経済。英語をはじめとする語学。日本や世界の歴史。美術、音楽、文学、哲学。映画や演劇などのエンターテインメント。国内や海外の旅行や世界遺産めぐり。食の楽しみ。

 今挙げたもののどれかに、あなたも何らかの興味を抱いていると思います。仕事や趣味を通して、実際にかかわりを持つトピックもあるでしょう。

 これらについて知識を蓄え、その知識を単なる情報ではなく自分のものにし、自分の言葉で語れる人は、「教養がある人」とみなされます。

 世界で活躍するビジネスエリートはみな教養がある人ですし、逆に言うと教養がなければ活躍することはできません。残念ながら「まあまあ仕事のできる人」で終わってしまうのです。厳しい言い方になりますが、「まあまあ仕事のできる人」とは、相手にとっては単なる「取引先」です。

 商談が終わった後の食事会、懇親のためのパーティーでは「特に話すことのないつまらない人」としてスルーされてしまい、人間関係が構築できないでしょう。

 これでは大きな仕事をするのは難しいし、将来的にパートナーシップも築けません。

 何より、仕事を離れた「あなた個人」として、魅力ある存在にはなれないのです。商談はもちろん、雑談が抜群にうまい――これが教養がある人の条件と言ってもいいと、私は考えています。

 雑談を通じて、人間としての深みをさりげなく提示して、「また会いたい」「仕事抜きでもつき合いたい」と思わせることが、これからのエリートの前提条件になります。